「バリュー株投資は簡単である」と言うのが大間違いである理由とは?

「バリュー株投資が簡単である」と言うのが大間違いである理由とは?

直近では、グロース株銘柄の下落が激しいですね・・

他方、資源株などは株価も堅調に推移しており、バリュー投資などに注目が集まっています。

思い返してみると、コロナショック以降、相場の上下はありましたが、本格的な下げ相場は起きていません。

そのため、本格的なる下落相場は経験していない人の方が多いのかもしれません。

確かに現在の相場環境を考えると、グロース株投資は厳しい状況となっています。

では、バリュー株投資に切り替えれば良いのでしょうか?

いや、バリュー株投資はそれほど甘いものではありません!

良く勘違いされるのは、

「バリュー株投資は、割安な株を買って適正価格になるまでホールドしておけば良いのでしょ!」

と思われるかもしれません。

ただ、勘違いしない方が良いのは、バリュー株投資は決して簡単な投資では無く、寧ろ難易度の高い手法であると言うことを理解しておく必要があると言うことです。

バリュー株投資、グロース株投資の特性とは?

そもそも論ですが、この「バリュー株投資」「グロース株投資」のどちらの手法が優れていると言った議論は無意味だと思っています。

当然、相場環境によって、どちらの手法が勝ちやすいかということは、大きく影響を受けます。

グロース株投資が優位だった時期

思い返してみれば、コロナショック後の相場では、グロース株投資の方が優位な状況が続きました。

新型コロナによって、生活環境は大きく様変わりしました。

そして、生活様式の変化に伴って、利益の出やすい企業も大きく様変わりしました。

飲食や旅行会社などは、非常に厳しい状況に追い込まれた一方で、在宅ワークやワクチン関連銘柄などは大きな注目を集めました。

更にコロナ対策として、大量の資金がマーケットに投下され、既にジャブついていたマーケットに、更に大量の資金が投下されることとなりました。

これらの資金が、一気に新型コロナに関連するグロース系銘柄に流れ込んだ訳ですから、当然これらのグロース系銘柄の株価は大きく上昇することとなりました。

このような状況ですから、当然、グロース株投資の方が勝ちやすい状況が続きました!

バリュー株投資が優位な時期

しかし、これらのグロース系銘柄も、多くの資金が集まった結果、株価も大きく上昇をしました。

とは言え、今後もEPSが拡大して行くのであれば、株価の上昇は肯定されることになります。

しかし、企業の利益拡大と比べて、株価の更なる上昇を肯定するのは厳しい状況となっています。

そのため、グロース株の割高感が顕著になって来ますので、高値のうちに売り抜けようとした、利益確定売りが増えてくるようになります。

また、世界的なインフレ抑止のために、利上げによるテーパリングも加速していますので、マーケットにおける資金の母数自体も減ってくることになります。

こうなると、寧ろグロース株から資金が引き上げられて行く傾向が強まるため、当然グロース系銘柄は下落して行くことになります・・。

とは言え、マーケットは依然として過剰流動性相場が続いています。

そのため、投資家も手元に余ったお金を、どこかには再投資して利益を得る必要があります。

とは言え、割高な株に投資すると下落リスクが高いため、比較論で割安に放置されている株へ投資をする傾向が強まります!

このような状況から、バリュー株投資へのシフトが進んでいるのです。

バリュー株投資で、「割安株を買って適正価格になるまでホールドすれば良い」と言うものでは無い理由とは?

では、これまでグロース株投資を行っていた人でも、バリュー投資に変えれば勝てるのでしょうか?

いや、当然ですが、そんなに甘いものではありません!!

そもそも、バリュー投資とは、

「ある銘柄が、本源価値に対して、割安に取引されている瞬間を見計らって投資する」

手法となります!

まず、難しいのは、この銘柄が「割安」なのかどうかを、分析できる能力を有している必要があります。

確かに、ファンダメンタル分析の知識があり、決算書などを分析することが出来れば、割安と判断出来るかもしれません。

ただ、バリュー投資では割安なものを買ってホールドしておけば良いという訳ではないのです!!

良く勘違いされるのは、割安な株を買っておけば、いつかは本源価値まで戻って来るので、買いタイミングは余り気にしない人が多いのです!

そのため、エントリータイミングに対して、余りシビアに考えない場合が多くあります。

そのため、割安だからと言って、エントリータイミングを考えずに買ってしまい、結果として、含み損の株をホールドし続けると言った状況に陥ってしまいます。

確かに、バリュー株は、配当も2~3%程度は貰える株も多いので、それらを貰いながら株価の上昇を待つと言う方法も良いのかもしれません。

ただ、少額しか保有していない投資家の場合、年2~3%程度の配当を貰っていても、資産は増えて行きません。

そのため、どうしてもキャピタルゲインによって利益を得て行く必要があります。

こうした理由から、バリュー投資であっても、割安な状況から適正な価格に戻ってくるような銘柄を購入する必要があります。

つまり、割安なだけでなく、株価が適正な株価に戻って来ると言う、カタリストが自分なりに見つけられた場合にのみ、購入しても良いと言うことになります。

そのため、バリュー株投資を行う場合は、ファンダメンタル分析によって割安であるかを判断するだけでなく、エントリータイミングやエントリー理由についても、しっかりと調べ尽くす必要があるのです。

バリュー株投資が注目を浴びるタイミングとは?

そもそも、このバリュー株投資が注目を浴びるのは、大きく分けて2つのパターンがあります。

1つ目は、相場環境が良い時に、グロース株などの銘柄が割高となってしまったため、まだ割安に放置されているバリュー株に資金が回ってきて注目を浴びるという場合があります。

2つめは、相場環境が悪い時です。

バリュー株投資は、適正価格と株価の間に安全率があるため下落相場でも、グロース株と比較すると、下落率は抑えられる傾向にあります。

そのため、相場環境が悪い時でも、比較的安全に投資を行えるため、注目を浴びる可能性が高まるのです。

上記の二つの相場環境のうち、後者のタイミングでバリュー投資を行う場合は、特にエントリータイミングはシビアになる必要があります。

後者の場合は、相場環境が悪いため、多くの銘柄が相場環境に影響を受けて下落する可能性が高くなります。

そのため、単純に割安と言う理由だけで買ってしまった割安株の場合、全体相場に流されて下落を続けると言う状況に陥ってしまうのです。

このため、割安と言う理由だけで買ってしまった場合は、株価が適正価格に戻ることはなく、塩漬け状況が続いてしまうのです!

因みに、誤解の無いように言っておきますが、バリュー株投資を否定したいという訳ではありません。

逆に、私自身も、投資を始め暫くの間は、中長期でのバリュー投資を行っていました。

勿論、今でもバリュー投資が投資の王道であると言う考えに変わりはありません。

ある程度の保有資産があり、また決算書の分析能力がある場合、バリュー投資は比較的安定して利益を稼げる投資手法だと思っています。

当然、既に割安な株なので、下落リスクは割高株と比べると低くなります。

また、下落相場の時は、割安な株が増えますので、適正価格に戻るカタリストを分析出来るなら、非常にお得な価格で購入できる可能性が高まります!

今後は、ウクライナ情勢によって、相場環境は上下することが想定されますが、テーパリングの方向は変わらないと思います。

そのため、引き続きマーケットから資金流出は続いて行くものと想定され、株式投資においては厳しい相場環境が続いて行く可能性が高いと思っています。

このため、バリュー投資は更に注目を浴びて来ることが想定されます!

このような中で、バリュー投資を単に割安な銘柄を買えば良いという、単純な発想で捉えてしまうと、大きな損失を被る可能性があります。

寧ろ、難易度の高い手法であると認識しておいた方が良いのかもしれませんね!!