株式投資で空売り(信用売り)は儲かるのか?
株式投資を始める場合、多くの人は「買い」から入ると思います。
但し、ある程度、「買い」による取引を続けて行くと、
- 株価が高くなってしまうと、高値掴みになってしまうので買う銘柄が無くなってしまう・・
- 空売りも出来たら、相場の上げ下げの、両局面で儲けることが出来るのに!
- 株価は、下落時は一気に落ちるので、空売りの方が短期で多くの金額を儲けられるのでは?
などと言ったことが、一度は、頭の中に浮かんで来たことがあるのではないでしょうか?
因みにですが、
「株式投資は、会社の一部を保有するものなので、「空売り」などはあり得ない!
とか、
「株式を売りたたい、株価の下落を助長するなど許せない!」
などと言った議論は、一旦、置いておくとして、
株式の取引から利益を得るという観点だけに絞って話すなら、間違いなく言えるのは「空売り」も覚えておくと取引機会や収益の幅が広がることは間違いありません。
では、この空売りはどのような考え方で行えば良いのでしょうか?
空売り(信用売り)のやり方とは?
まあ、一般論などを話しても面白くないので、ちょっと私の経験も踏まえつつ触れさせて頂きます。
例えば、株式投資を「表面上だけ」で、シンプルにとらえると、
- 企業の業績悪い = 株価は下がる
- 企業の業績が良い = 株価は上がる
と言った考え方が出来ます。
上記のうち、「業績悪い」会社の株式を取り出した場合、多くの場合、『株価は底値圏』に位置することになります。
要は、株価が安いということです。
しかし、株式投資はそれほど単純ではなく、業績が悪いのに『株価が高値圏』に位置している場合も多々あります。
理由は色々と有り、
- 外部環境が良い。
- 現在の業績は悪いが、将来の企業の成長を見越した買いが入っている。
- 一時的に収益が悪化したが、来期からは持ち直すことを想定した買いが入っている。
- 材料が出て、一気に株価が上がった。
- 空売りが多く入っており、踏み上げ相場になっている。
など、様々です。
上記の中で言うと、
(2)(3)は、企業が将来的に利益が改善される可能性が高いので、空売りには適さない可能性が高そうです。
逆に、
(4)(5)は、空売りのチャンスが転がっていそうです。
例えば、(4)で出た材料が、将来の業績拡大に寄与しない場合、株価は化けの皮が剥げた瞬間に、大きく下落する可能性が高まります。
空売り(信用売り)の考え方や取引事例とは?
少し思い出してもらうと、2020年頃はコロナ一色でした。
世間では感染予防の観点から、マスクの需要が増し、薬局に行っても買えないと言った日が続きました!
このような中で、「マスクを製造する」と発表するだけで株価が大きく上昇するような状況でした。
ただ、今になってシンプルに捉えれば簡単にわかることですが、数千億~数兆円の売り上げがある会社が、ひと箱、数百円レベルのマスクを売ったところで、売り上げや利益に大した寄与はしません。
少なくとも、株価の上昇に相応するほどの、利益増は見込めません!
更に、早々にマスクの供給量は、近いうちに正常状況に戻ることが想定されますから、マスクを販売したところで、売り上げが2倍3倍と伸びて行くことは想定し難い状況です。
とは言え、株価は下落する際はミニマムゼロ円ですので、下落時はゼロ円に近づいてくると下落が収まってきます。
しかし、上値は青空となりますので、需給だけで株価が跳ね上げられてしまうと、本原価値との乖離幅も明らかに大きくなり、素人目に見ても分かるくらい上昇してしまう場合があります!
ですから、こうした一時的に材料などで上昇してしまった銘柄を見つけて空売りをすれば、化けの皮がはがれた瞬間に一気に株価は下がりますので、大きく利益を出すことが出来るのです。
このように考えると、空売りは簡単そうに見えますね!
でも、実態はそんなに甘いものではありません。
恐らく、生半可な知識や経験で空売りをする場合、踏み上げを食らって大火傷をすることになるかと思います。
上記の例で言うと、マスクを税増するといった発表を受けて、「企業業績が大幅に改善されて株価が上がるだろう」などと考えて取引をしている人はほとんどいません。
当然ですが、事象の起きている背景を理解していないなどは、論外であり、カモになるだけです・・
空売りに対して、買い方はどのように儲けようとしている?
では、買い方はどのような視点でこの銘柄を買っているのでしょうか?
勿論、理由は様々ですが、
例えば、
・マスクが企業業績に寄与するレベルではないのは分かっているが、材料に対して注目が集まっており、暫くイナゴが集まって株価を押し上げる可能性が高いことから、その流れに乗って利益を得ようとする。
・売り残が多く積みあがっており、資金が潤沢にある大口が、踏み上げ相場を形成できると考えて資金を投入する。
・世の中が金融緩和相場になっており、潤沢な資金がマーケットに流れ込んでおり、暫くはマーケット全体が上昇相場になり、売り方が優位になることが想定される。
など、理由は色々とあります!
つまり、その事象が起きている背景は大半の人は理解しており、その上で需給がどのようになるかを想定しながら売買が行われているという訳です。
ですから、需給が交錯する暫くの間は、株価は需給によって左右されてしまい、既に高値にあるにもかかわらず、更に踏みあげられるということが多々生じてしまうのです。
では、暫くホールドしておいて、銘柄への注目が収まり、株価が本原価値に従って下落するまで待てば良いじゃんと思われるかもしれません。
ただ、これも、そんなに甘くはありません。
空売りは、長期になると買い方との戦いで、分が悪くなる可能性がある!
まず、信用取引ですから、原則、6か月で買い戻す必要があります。
そこは分かっているので、大口の買い方も6か月間は買い支えて、株価が下がらないようにしてくることが多々あります。
また、売り残が積みあがると、逆日歩が発生します。
この逆日歩は、売り残が多い小型株などの場合は、とんでもない金額の支払いが必要になったりします・・
急騰した仕手株は、反転するタイミングを計るのが難しい!
そして、どこで反転するのか読めないという問題点もあります。
長期で見れば、下落することが分かったとしても、直近で売り買いが拮抗する場合、どのタイミングでどちらにブレイクするかはわかりません。
そのため、反転する前に6か月が過ぎてしまったり、踏み上げによる含み損に耐えたとしても、資金が尽きてしまい、損切したところが天井で、そこから一気に株価が崩れると言ったことは良くあることです。
当然、買い方はどのあたりが苦しいかはわかっており、そこまで追い込めば一気に売り方が崩れるのは分かっているので、確実に追い込んできます。
損失を出しながら我慢する売り方と、徐々に株価が上昇して利益を得ながら追い込んでくる買い方では、明らかに後者の方に分がある勝負となります。
ただ、買い方は既にババ抜き状況となっていますので、どこかで売り抜けなければ、二度とその株価まで戻ることはない可能性も高いので、「買い方の敵は買い方」だったりもしますが・・
と言うこともあり、単純なる思考で売りに参入すると、ほぼ高い確率で損失を被ることになってしまうのです!
空売り(信用売り)において、大損害を避ける方法とは?
では、どのようにすれば、こうした踏み上げを避けることは出来るのでしょうか?
小型成長株は、踏みあげられる可能性が高い!
例えば、発行株式の小さな小型株で売りを行わないことです。
小型株の場合、値幅が大きくなりますので、踏みあげられた時に途方もない損失が出る可能性があります。
売り金になったり、新材料や業績などで、予期せぬプラス発表が出た場合、ストップ高が連発し、売買が出来るようになった時には途方もない損失が出ている場合もあります。
当然、信用取引ですから、場合によっては、一発退場になってしまう可能性もあります。
また、逆日歩も小型株の方が多くなる可能性が高まります。
その点、大企業の場合は、発行株式数も多く取引量も多いため、小型株と比較すると損失は限定される可能性は高まります。
このように考えると、大企業の方を空売りした方がよさそうにも聞こえますが、損失に繋がる動く値幅が少ないということは、逆の見方をすれば利益が出た場合でも利幅は少なくなるということを意味します。
また、そもそも大企業の場合は、株価が本原価値から著しく逸脱することも少ないため、エントリーチャンスが限定されるなどと言ったデメリットもあります。
急騰後、上値で揉みあいになってからエントリーする!
損失限定の観点で、また、違ったものとしては、株価の上昇が一服して、売り買いが交錯した後にエントリーするというのも重要なポイントとなります。
所謂、逆三尊やダブルトップなどのように、天井圏で揉みあった後に入れば、踊り場を形成してまた上昇局面に入ってしまったタイミングで損切すれば、損失はコントロールすることは可能です。
最も分かりやすいのは、逆三尊で「最後の肩」付近でエントリーし、「肩」若しくは、「頭」に逆指値を入れておけば、機械的にコントロールされた額で損切が出来ます。
ただ、こうした天井圏での踊り場は、長く続いてしまう可能性があるので、逆日歩を払い続けていると割に合わない取引になったりしがちです。
とは言え、どこで需給が改善されて、一気に株価が下落するかは分からないので、常にマーケットにリスクを冒してベットしておかなければなりません。
ですから、損切額を決めて上にブレークしたら小さく損切を行い、またエントリータイミングになったら空売りをすると言ったことを、細かく繰り返しつつ、反転を目指していく必要があります。
又は、天井圏の揉みあい相場で、小さく利益を積み上げて行くという方法もあります。
ただ、この場合は利幅が取れない中で、損切りは一定割合出ますので、勝率が悪いとペイできない可能性はあります!
空売り(信用売り)の行う場合、これだけは押さえておかなければならないこととは?
色々と言ってきましたが、結局のところ、「空売り」も、簡単に儲けられるというものではなく、利益を出すためには相応のリスクや知識・経験などが不可欠となります。
ただ、空売りを覚えることで、取引の引き出しが増えることは間違いありません。
また、買いをメインにする場合でも、売り方の考え方を理解しておくことは重要です。
但し、明確に一つだけ言えることは、
「損切をコントロールしてできないのであれば、空売りは絶対にすべきではない!」
と言うことです。
これだけは、明言できます!!
上記でも述べましたが、売りの場合は長期勝負がし難いので、どうしても短期的な取引になりがちです。
短期取引になると、どうしても勝敗は確率論に寄って来ますので、損切は不可欠となります。
しかし、バイ&ホールドだけを行ってきた投資家の場合、同じ思考で空売りに挑むと、適切なタイミングで損切が出来ずに高い確率で大きな損失を被ります。
ですから、空売りを始める前に、買いでも損切をしっかりと出来るようになってから挑む方が無難です。
それと、慣れるまでは従来よりも少額で取引を行うことも重要です。
空売りに関しては、賛否両論あるかと思いますが、売り方がいることによってマーケットに柔軟性がもたらされていることも事実です。
ただ、私も結局のところは、企業業績やマーケットのトレンドを鑑みつつ、バイ&ホールドの取引手法に帰着して来ました。
そして、空売りはピンポイントで勝率が高い局面だけ、サクッと入って利益を出し、早々に離脱するというような取引が多くなっています。
この先、どのような手法をメインに取引を行っていくかはわかりませんが、空売りも経験したことによって、投資家としての幅が広がったのは確かではあります。
とは言え、決して空売りを進めるものではありませんが、売りについても学んでおくと言うことは、投資家としては無駄にはならないのかもしれませんね!!
因みに、以下は株式投資で儲けるためのステップについて纏めたものです。
宜しければ、ご覧下さい!!