米中貿易協議が合意に至ると、本当に株価は上昇するのか?材料出尽くしにならないか?
米国マーケットは、依然として強い株式相場が続いています!
NYダウも、最高値を更新し続けており、高値圏を警戒される水準となっています。
11月下旬から12月初旬に掛けて、トランプ米大統領が「香港人権法案」に署名し同法が成立したことに対して、米中関係の緊張が高まったことから、一時的に米国市場も下落に転じた時期がありました。
しかし、中国も報復措置を発表したものの、結果は「米軍艦の香港寄港を拒否」と言った形だけの報復措置であり、米中貿易協議に与える影響は小さいとの見方から、NYダウは値を戻す動きとなりました。
こうしたことからも分かるように、現在の米国マーケットは米中貿易協議の結果に大きく振り回される状況となっています。
しかし、現在の株高の状況を鑑みると、米中貿易協議は合意に至るだろうとの見方が大勢であり、これを見越した買いが多く入っているものと想定されます。
しかし、実際のところ、米中貿易協議が上手く合意に至るのかは分かりません。
勿論、こればかりは米中の政府高官でも分からないのかもしれません!
米中貿易協議の結果は、既に株価に織り込まれているのではないか?
ただ、仮に米中貿易協議が合意に至った場合、株式相場はどうなるのでしょうか?
恐らくは、一時的には上昇するのだと思います!
然しながら、上昇も長続きするかと言われると、疑問な部分はあります!
と言うのは、現在の株高は米中貿易協議が合意されるだろうとの想定から、先回りする形で買っている可能性があります。
この場合、既に株価に織り込まれていると言うことになりますので、材料の出尽くしとなります。
こうなると、一時的な株価上昇があったとしても、果たして継続して株価の上昇材料になるかと言うと、疑問な部分ではあります!
現在の米国市場の株高は、法人税の減税効果による影響も大きい!
現在の米国市場の株高は、米中貿易協議の影響だけでなく、トランプ大統領による減税政策に起因するところも大きいと思います。
しかし、こちらも同様に、法人税の減税が、今後も継続的に株高に寄与し続けるかと言うと、そこに対しても疑問な部分があります。
と言うのも、やはり株価が決まる材料において、その企業の「利益の推移」と言うのが、株価に与える影響が最も大きいものの一つだと思います!
勿論、株価は多くの要素が複雑に絡み合って決まりますので、企業業績だけで決まる程、単純なものではありません。
しかし、説明を単純化するために、仮に株価が、1株当たりの利益(EPS)の増減にリンクすると言う前提で考えてみます。
株価の継続的な上昇には、1株当たりの利益(EPS)の増加が重要となる!
例えば、Aと言う会社があったとします。
この会社の前年度の税引前利益が100,000円で、発行済株式数が100株だとします。
仮に、この会社の属する国の法人税が30%だった場合、税引後の利益は100,000円×0.7なので70,000円となります。
1株当たりの税引後の利益は、70,000円÷100株で、700円となります。
しかし、今年度から法人税が30%から20%に減税されたとします。
この場合、税引前の利益が前年度と同じ100,000円だったとしても、100,000円×0.8÷100株となりますので、1株当たりの税引後の利益は800円となります。
こうなると、企業としては税引前の利益は、どちらも10,000円で伸びていないにもかかわらず、利益率は14%も改善されたことになってしまいます。
では、来年度も同様に利益率は改善されるのでしょうか?
当然ですが、企業の税引前の利益が上昇するならば、当然ですが1株当たりの利益は増加します。
先ほどの説明で言うと、税引き前の100,000円と言う利益が、150,000円などのように増加すれば、この企業の株価は更に上昇することが期待出来ます。
しかし、税引前の利益が、前年度と同様に100,000円だった場合はどうなるでしょうか?
当然ながら、100,000円×0.8÷100株となりますので、1株当たりの税引後の利益は800円のままです。
こうなると、株価の上昇は余り期待できません!
更に、株式市場の場合、1株当たりの利益が上昇してきた会社の利益上昇が止まって、前年と同様の利益となった場合は、株価は従来と同様と言うよりは、寧ろ下落の方向に進みがちです。
と言うのは、中長期で株式投資をしている場合は、その企業が中長期的に伸びて行くことが最も大切です。
しかし、この会社の業績拡大が止まってしまったことが明白である場合、それ以上保有するメリットが薄れます。
こうなると、前年度と同等の利益を出せたとしても、利益確定で売りに回ってしまう投資家が増えますので、寧ろ下落する可能性が高まります。
こうなると、いよいよ、株式相場は反転して、下落に転じてしまう可能性があります。
このように、結局のところは、企業業績が来年度も拡大するのかが、今後の更なる株価の上昇が続くのかを占う大きな要因となってきます。
仮に米中貿易協議が合意しても、株価は下落する可能性も想定しておく必要がある!
仮に米中貿易協議が合意に至った場合、果たして業績の改善にどの程度寄与するのかについては、改めて冷静に見つめ直してみる必要があります。
そして再整理の結果、業績改善に大きく寄与すると考えれば、株を更に買い増せば良いのだと思います。
一方で、業績改善には大きく寄与しないとか、既に株価に織り込まれていると考えるのなら、寧ろ売りのチャンスなのかもしれません。
私はどちらかと言うと、後者寄りの考え方です。
但し、こうしたマクロ的な業績動向の分析は難しいですし、更にトランプ大統領がどう出て来るかなどは誰も確証は持てません!
よって、分からないと言う方も多いと思います!
もし分からないと言うのであれば、相場に高値警戒感が出ていることも確かなので、方向性に確証が持てないのであれば、「休むも相場」と言うスタンスもありなのだと思います。