順張りと逆張りとは、何が違うのか?どちらの手法が良いのか?
株式投資を行う場合、逆張りと順張りとは、どちらが適しているのか?
恐らく、株式投資を始めると、どちらの手法を選択すべきか迷われるケースが多いと思います。
当然、外部環境・投資に充てられる時間・保有期間・リスクに対する考え方など、様々な要因を加味して、どちらが自分に向いているかを自分自身で決めて行くしかありません。
逆張りは、勝率が高いって本当なのか?
順張りや逆張りについては、そもそも定義が曖昧なので、議論すること自体が
投資を行っていくと、逆張りは「勝率が高い」と言われたりもします!
これは本当なのでしょうか?
主な理由としては、基本的には、株は「上がったものは下がり、下がったものは上がる」ため、逆張りでエントリーすれば、想定した方向に株価が反転すると言うのが主な理由の一つなのだと思います。
確かに、永遠に上がり続ける銘柄もありませんし、逆に永遠に下がり続ける銘柄もありません!
しかし、だからと言って、逆張りが勝率が高いと言うのは、少し思考が浅すぎます。
例えば上記の図の通り、株価が下落を続けているな中で、底値で放置されている銘柄があったとします。
しかし、マーケットには気づかれていませんが、この企業の業績は、次回の決算発表時には改善される可能性が高いことが、ファンダメンタル分析で判明したとします!
すると、現在が【A】の時期だったとすると、業績発表の後は、買値を上回って【C】のような株価まで上昇する可能性は高くなります。
そのため、確かに株価が、少々高かろうと安かろうと、勝てる確率は高そうです!!
しかし、実際は、それほど甘いものではありません!
実際の場合は、例えば下記の図の通り、業績発表後に株価は上昇したものの、買値である【A】の位置まで戻らなかった等が発生したりします。
当然、この銘柄が次回の業績発表で改善されると判断できた人は自分だけではないからです。
そのため、業績発表で業績改善が示されたとしても、マーケットにはサプライズはないので、そのまま底値で放置されたり、上がったとしても期待ほど上昇しなかったりするのです。
また、【A】で購入した後も、急激な下落が止まらずに、業績発表がある前に、【B】の損切ラインで売却してしまったと言ったことも起こり得ます。
まあ、これはその人の投資ルールに寄りますが、あるレンジを下回ったら損切を設定している投資家は多いと思います。
そのため、業績発表までの間に、自分の損切ラインを下回ってしまい、売却に迫られたということは良くあることです。
まあ、業績改善が見込まれているならば、売らなければ良いだけではありますが、マーケットでどの程度周知の事実になっているかは判断は難しく、一定ラインで損切を行うというルールも決して間違っているとは思いません。
このように考えると、逆張りだから勝率が良いとかは、一概に言えるものではないことが分かるかと思います。
順張りは、本当に勝率は低いのか?
では、順張りは勝率が低いのでしょうか?
これも、単純にそうとは言えないと思います。
順張りで取引をする場合、トレンドが発生したのを見極めてからエントリーすることになります。
例えば、以下の図は、典型的な順張りのチャートです。
綺麗に右肩上がりに株価は上昇しています!
一件、どこで入っても儲かりそうな気がします!
しかし、順張りの人がエントリーする場合は、一定の上昇トレンドが発生していることを見極めてからとなります。
例えば、【A】の位置で上昇トレンドが発生していることを確認した上で、エントリーしたとします。
ここから中長期で保有するつもりでホールドすれば、確かに上昇トレンドに乗っている銘柄なので、儲かりそうです!
しかし、上昇トレンドと言えども、一直線で右肩上がりを続ける訳ではありません。
実際には、上げ下げを繰り返しながら、株価は上昇していくものです。
これらは、もっと下の位置から保有していたホルダー達の利益確定などによって、このようなチャート形状になったりします。
こうした状況の中、【A】の位置で、株価は上昇トレンドを描いているので更に上がって行くと想定して購入したものの、 もっと下の位置から保有していたホルダー達の利益確定 によって、一時的な株価の下落に見舞われたとします。
すると、株価は下落に転じてしまうのではとの恐れから、慌てて【B】の位置で損切りをします。
そると、それを待っていたかのように、株価は再び上昇して行ってしまったと言ったようなことが良く起こります。
こちらも一例に過ぎませんが、順張りで上昇トレンドに乗っている銘柄を見つけて買えば良いと言うほど甘くはありません。
当然、【B】の位置で上昇に転じずに、実際に下落してしまう場合もあります・・。
逆張りと順張りで、どちらの手法がリターンは高いのか?
逆張り・順張りにおいて、リターンの観点では、どうなのでしょうか?
こちらもケースバイケースになると思います。
単純な例で考えると、株価が300円から100円に下落し、100円で反転した後に、200円まで値を戻したとします。
当然、一番利益が大きいのが、逆張りで底値を完ぺきに当てて、100円でエントリーした場合です。
この場合は、100円が利益になります。
一方で、順張りは、一定のトレンドが発生したのを見極めてからエントリーしますので、底値からスタートすることが出来ません。
仮に、150円でエントリーできたとすると50円の利益となります。
こうして考えると、一見、逆張りの方がリターンが多いように感じられるかもしれません。
しかり、毎回、底値でエントリーするのは限りなく困難です。
なので、例えば150円あたりからエントリーして反転したとすると50円の利益となります。
この場合、どちらも同じ50円の利益なのですが、順張りの方が保有期間が短いため、資金効率は高くなります。
但し、もし逆張で110円でエントリーできた場合は、90円の利益となりますので、その場合は逆張りの方が利益が大きくなります。
こうした単純な例からしても、どちらがリターンが大きいと、単純に言い切るのは難しいと思います。
逆張り派が多い理由とは?
理由は多々ありますが、主な理由としては、以下のようなものがあります。
例えば、業績や新商品の情報などトレンドが変換するような材料が発表されたとします。たいていの場合は、15時以降に発表されますので、多くの場合は翌営業日に株価は窓を空けて暴騰します。
仮に、前日の株価が5,000円だったとすると、翌営業日は5,001円からではなく、例えば5,500円などのように、窓を空けてスタートすることが大半です。
上記の場合ですと、例えば4,500円付近から仕込んでいた人がいたとすると、既に5,500円でも十分と考えて、利確をする人も出てくるでしょうから、5,500円からもう少し上昇したとしても、利確に伴う売りが出て株価が下がる可能性もあります。
また、材料が出たタイミングでは、イナゴ達がわっと沸いて株価を押し上げたものの、冷静になって良く考えると、大した材料ではなかったために、株価が下落すると言ったケースもあり得ます。
当然、こうした株価の動向を見極めてからエントリーする場合、エントリーできたタイミングでは、既に株価に割安感が無くなってしまっている可能性があります。そのため、株価が上昇する前に比べて下落リスクは高まります。
また、サラリーマンをしているので、どうしてもずっとマーケットを見続けることは出来ません。そのため、マーケット動向を見ながら、状況に応じて柔軟に対処していくことは困難です。
これらの理由から、他の人が気が付いていないときに、丹念に関連資料を調べることで割安なタイミングで購入し、皆が気が付いた時には売却することで、株価の下落リスクを抑えつつ、サラリーマン生活とも共存できるため、逆張りを選択している人が多いのだと思います。
ただ、エントリーするタイミングが早過ぎたため、利益が思ったほど得られなかったとか、株価が下落中に逆張りでエントリーしたものの、自分の業績分析が甘く、悪い業績が発表されてしまったというケースもあります。
この場合、株価は反転しないどころか、更に大きく下落してしまうため、結果的に大きな損失を被ってしまうことになります。
そのため、必ずしも、私のような環境だからと言って、順張りが適しているとも言えないと思っています。
逆張りと順張りはどちらが良いのか?
結局のところ、外部環境、自分の目標達成までの期間や、1日のうち投資に充てられる時間、自分の性格など、諸々を加味して、逆張りと順張りのどちらの手法にするかを選択し、更に選択した手法を使ってどのように利益を得るということを、自分自身で決める必要があります。
そして、特に初心者のうちは、手法を固定して、その手法に当てはまるケースが来るのを丹念に狙い続け、タイミングが来たら迷わずエントリーする判断を下すことが重要なのだと思います。
しかし、上記のように狙い続けてエントリーした場合でも、100%の確率で勝てるとは限りません。
そのため、負けた時のエグジット戦略を事前に決めておき、残念ながら想定通りにならなかった場合は、潔くロスカットするしかないのだと思います。
株式投資を深堀して行くと分かると思いますが、単純に逆張りだから〇〇、順張りだから△△と言った、確実な法則みたいなものは無いのだと思います。
そうではなく、なぜそのようになるのか?という事を自分なりに突き詰めることが大切で、その上で各手法のリスクとリターンを理解し、自分なりにスタンスを決めて実践して行くという事が重要なのだと思います。