
昨晩のNYダウは、マイナス800.49の大幅安な下落でした。
不景気へのシグナルとも言われる逆イールドも発生しており、米国経済のリセッション(景気後退局面)入りを示唆しているのではないかと指摘されています。
逆イールドとは何なのか?
この逆イールドは、長期(10年債利回り)が、2短期(2年債利回り)を、下回っている状況のことを指しています。
通常、私達が誰かにお金を貸す場合、1ヶ月後に返して貰う場合と、1年後に返して貰う場合であれば、当然、1ヶ月後に返して貰う方が、帰ってこなくなるリスクは少ないと思います。
仮に、友達に1000円を貸すとします。
1ヶ月後ならお金が返って来なくなる可能性は低いけど、1年後だと忘れられたりして返って来ない危険があるので、「1,000円は貸してあげるけど1,100円にして返してね!」と言った状況のことです。
まあ、友達にお金を貸す場合、利子を取ることは余りないと思いますが・・。
何れにせよ言えるのは、通常は長期の方がリスクが高まると考えるのが普通です。
債権の取り引きの場合も、考え方は、基本的には同様です。
債券を売買する投資家は、長期で国債を保有すると、期間に対するリスクを負うことになります。
そのため、短期の国債と比べて高い利回りが無いと、投資として割に合いません。
よって、上記の例で言えば、長期(10年債利回り)の方が、短期(2年債利回り)より利回りが良いのが通常の状況となります。
逆イールドが起きる理由とは?
では、なぜこのような逆イールドの状況が発生するのかですが、一般的に考えると、将来の景気に対する不安を感じると、リスク資産である株式の持高を減らすことになります。
そして、リスクのある株式より、国債の方が安全なため、長期国債に買い替える人が増えます。
すると、長期国債の価格が上昇しますので、利回り自体は下がることになります。
一方で、2年債利回りのような短期国債は、目先の金融政策の影響を受けやすい状況となっています。
つい先日、FRBが金利引き下げ踏み切りましたが、数年間に渡って引き上げ続けてきた状況もあり、短期国債の利回りは高い状況にあります。
よって、長期(10年債利回り)の方が、短期(2年債利回り)を下回るという、逆イールドが発生してしまうのです。
先ほどの例で言うと、友人に1,000円を貸したとして、「1か月後だと1,100円にして返して貰うけど、1年後だったら1,050円で良いよ!」と言っているようなものです。
如何に、異常な状況かと言うのが良く分かるかと思います!
逆イールドが発生すると、その後、景気後退局面に入ることが大半である!
これは、マーケットが将来の景気に対する不安を織り込むことで発生する現象であり、1990年以降だと、過去に3回の景気後退(リセッション)が発生しております。
やはり、2019年、2020年あたりがピークで、その後は景気後退局面に入って行くと言う声が良く聞かれますが、景気後退局面はもう目の前に来ていると考えて、可能な限りの準備を進めておいた方が良いのだと思います。
割安株が増える中での対処法とは?
直近の株価の状況を見ていると、かなり割安な銘柄も出始めており、ある意味仕込み時期に近づいている状況ではあります。
確かに、企業の利益が変わらない若しくは上昇する中であれば、現在のような外部環境に連動して株価を下げているならば、その銘柄は仕込み時期だと思います。
しかし、企業利益が今後減少していくなら、株価が下がったとしても割安とは言えなくなってしまいます。
割安株仕込んで、中長期でホールドする場合は・・
このタイミングで仕込んで、中長期的にホールドするつもりであれば、丹念に企業業績の動向を分析してから仕込むべきと考えます。
現在の米中貿易摩擦や消費税増税によるマインドの低下や、円高に伴う為替差損は、企業の業績にも悪影響を及ぼしてくると想定されます。
そのため、これだけの外部環境の悪化傾向にもかかわらず、好業績が見込める銘柄を慎重に選定することが不可欠です!
好業績な銘柄を割安で仕込み、リバウンドを狙う戦略が良さそう・・
ただ、企業業績を見極めるのが難しい局面になっているのも事実だと思います。
私個人としては、このタイミングでは好業績にもかかわらず、外部環境に連動して下がり過ぎている銘柄の、リバウンドを狙う戦略の方が安全かなと思います。
現在のマーケットで金余りの状況を鑑みると、割安株が増えてくると、やはり資金が流入して、一時的な株価の戻り局面が生じると思います。
つまり、業績に連動して株価の中長期的な上昇を想定するのではなく、好業績で安定した銘柄に狙いを定めて、株価が下がり過ぎたタイミングで仕込み、戻った時に欲張らずに売り抜けるのが有効かなと思っています。
どのタイミングで、どのような銘柄を仕込むかを慎重に見定めて、後は自己責任でリスクを負って資金投下をするしかありません。
直近では、昨年の年末、そして今年の5月頃と、マーケットのマインドが下がった時がありましたが、やはり金余りを背景に資金が株式市場に戻ってきてリバウンドしました。
当面は、こうした上げ下げが定期的に起こりつつ、次第に景気後退局面に向かっていくのかなと感じています。