株式投資の中長期投資では、資金管理の必要性は無いのか?

スキャルピングやデイトレード、スイングトレードなど、保有期間の短い取引を実施していると、「資金管理が如何に大切か!」といったコメントを良く目にすると思います。

一方で、中長期投資の場合、「資金管理」と言う言葉は、短期投資に比べると余り目にする機会はありません。

当然、スキャルピングやデイトレード、スイングトレードなどにおいては、チャートなどのテクニカル分析より、エッジがあるタイミングでエントリーすることになります。

しかし、全ての取引が自分の思う方向に進むとは限りません。

そのため、仮に自分が想定した方向と違った方向に進んでしまった場合、自分のルールに則って損切をすることになります。

中長期投資では、資金管理の重要性は、短期投資ほど語られない!

一方で、長期投資などにおいて、王道となる手法が「バイ&ホールド」です。

ウォーレンバフェットやピーターリンチなど、多くの著名投資家の手法を見ても、ベースとなる考え方として「バイ&ホールド」を推している投資家は多いです。

基本的な考え方としては、徹底的に業績が上昇する企業を選定して、企業の業績拡大に伴う株価の上昇を収益に変えようと言う手法です。

こうした手法のベースとなる考え方としては、企業は利益を追求する組織体であり、従業員は企業業績を良くしようと、毎日必死に働いている訳なので、基本的には企業の業績は拡大していくはずである。

そして、株価は企業業績に長期的には収束して行くので、長期的には株価は右肩上がりで上昇していくと言ったものです。

但し、勿論、上記のような単純な考え方だけで、株価が変動すると考えている人は皆無だと思います。

一生懸命働いたからと言って、業績が拡大するとは限りませんし、企業にも成長や衰退のサイクルがあるので、ずっと右肩上がりで業績が拡大すると言うことはありません。

また、企業業績に株価が収束するかと言うと、それほど株式市場は甘くはありません。

但し、企業の業績拡大に伴う株価の上昇を収益に変えると言う手法は、正に、株式投資の王道と言える手法ですし、それ自体は全く否定するものではありません。

長期投資だからと言って「バイ&ホールド」一辺倒の投資手法では厳しい!

ただ、一つ言いたいのは、長期投資だからと言って「バイ&ホールド」一辺倒の投資手法では、特に今後のマーケットでは厳しいのではないかと感じています。

確かに、現在が、リーマンショックから立ち直ったばかりの時期であったり、アベノミクス初動のタイミングであれば、「バイ&ホールド」だけで良いのかもしれません。

中途半端に売買を繰り返す方が、取引コストも増えますので、中長期的に株価が上昇局面を迎えているのであれば、「バイ&ホールド」は有効な手段なのだと思います。

しかし、現在のような相場の方向感が見極め難くなっている状況においては、「バイ&ホールド」一辺倒の手法が、今後も有効に機能し続けるかは疑問です。

その際に、「バイ&ホールド」一辺倒だと、仮に保有している銘柄の業績が悪くなくても、外部環境に引きずられて株価が下落する可能性はあります。

結果として、保有銘柄の含み損が大きくなりすぎて、切るにも切れなくなると言った事態になり兼ねません。

そうなると、含み損を抱えた塩漬け株が、いつか反転するだとうろ祈ることしか出来なくなってしまいます。

株式投資において、株価が自分の想定とは逆に動いた状況で、身動きが取れなくなってしまった場合、想定通りの動きに戻れと幾ら祈っても、大半の場合は想定通りの動きには戻りません。

当たり前のことですが、株式投資は相手がどう動くかを読み合っているものであり、上記のような「王道と言える投資手法」を逆手に取って仕掛けてくるのは、投資における常套手段です。

よって、株価が自分の想定とは逆に動いた場合は、耐えることも必要なのですが、身動きが取れなくなる前に、一度撤退することが極めて大切だと感じています。

そうすることで、損失を最小限にすることができ、また新たなチャンスに挑むための、資金を確保することが可能となります。

今後は外部環境の悪化によって、株価が連動して下落する可能性が高まって行く!

現在のマーケットを見ていると、相場に対して楽観的という雰囲気は余り感じません。

寧ろ、多くの人が、いつ来るか分からない、株価の暴落を恐れているように感じます。

逆に、このように多くの人が下落を恐れて慎重になっている時期の方が、ズルズルと株価が上昇していくのかもしれません。

しかし、一つ言えることは株価がずっと上昇し続けることはありません。

どこかで、反転するタイミングは必ず来ます。

このような状況の中で、投資手法の選択肢が「バイ&ホールド」しかない場合、株価の下落によって含み損状況に陥っても、まだ「ホールド」という選択肢を選ぶしか無いことになってしまいます。

勿論、一時的に株価が下落しても、業績が拡大しているのであれば、外部環境に関係なく、株価は上昇していく可能性はあります。

そのため、このずっと「ホールド」と言う選択肢も、必ずしも間違いとは言えません。

業績が拡大しているのであれば、外部環境に関係なく、株価は上昇していく可能性はあるので、寧ろ正しい判断と言えるのかもしれません。

しかし、自分の考えに固執して、保有資金を大きく減らしてしまうと言ったことは、投資の世界では良くあることです。

危険を冒さずに逃げるという、柔軟性を持ち合わせて行くことも重要である!

やはり、危険な状況を察知した場合は、危険を冒さずに逃げるという、柔軟性を持ち合わせて行くことも、投資の世界で長く生き延びて行くためには、必要な能力なのだと思います。

そのためにも、中長期投資と言えども、「資金管理」について学んでおくことは大切だと思います。

身動きが取れなくなる前に、どのように対処すべきかということを、しっかりと学んで、自分自身のルールとして決めておくことが重要なのだと思います。

なお、短期取引を実施している人なら、殆どの人が読んでいると思いますが、まだ長期投資の「バイ&ホールド」がメインであり、資金管理等に関する勉強を余りされてない場合は、以下の本あたりから、読み進めてみるのが良いかもしれません。

※因みに、資金管理は、単純にロスカットのことだけを意味している訳ではないことは理解しております。本記事では資金管理の中で、ロスカットなどの一部の観点だけ切り取って、意見を述べさせて頂いてますが、その点はご容赦下さい!