米国が新型コロナウイルスで緊急利下げしたが、株価が大幅下落となった理由とは?
昨晩は、私もNY市場がどうなるのかなと思い、NYダウのリアルタイムチャートを見ていました。
夜間に、NY市場で取引をしている訳ではないのですが、寝る前の時間帯に布団に入りながらマーケット動向を見ていることは良くあります。
そんなこともあり、昨日も、NY市場の取引開始後から株価の動向を見ていました。
直近では、マーケットは投機的な動きとなっており、ボラティリティも大きくなっています。
案の定、NYダウもズルズルと下げて行き、今日も下げの方向かなと感じていました。
そのような中で、先ほどまではマイナスだった株価が、気が付いたらプラスになっています。
「んんん、( ,,`・ω・´)ンンン?・・・」
この僅かな時間で、これほど大きく株価が変動することは、普通だと考えられません!
余りに短時間のうちに、変動幅が大きかったので、何か見間違えたのかなと思いました。
しかし、何度見ても間違いなくプラスに転じています!
明らかに異様な動きだったので、材料を調べてみると、 米連邦準備制度理事会(FRB) が政策金利を0.5%の引き下げを行っていました。
サプライズ的な緊急利下げで株価はプラ転。しかし直ぐに下落に転じる!
マーケットでは金利引き下げは織り込まれていましたが、3月17日~18日で行われるFOMCで、金利の引き下げが行われるものと想定していました。
しかし、新型コロナウイルスによる経済への影響を懸念して、異例の緊急会合を開いて早期の利下げを全会一致で決めました。
臨時会合での利下げの決定は、リーマン・ショックの最中である2008年10月以来となります。
かなりのサプライズです!!
これが、その時に、私がTwitterにコメントしたものです。
しかし、緊急利下げによる株価の上昇はわずかな時間であり、あっと言う間に下落に転じてしまいました。
結果として、終値ベースで言うと「-785.91ドル」と大きな下落となってしまいました。
緊急利下げにもかかわらず、株価が下落したことは、マーケットにおいて何を意味しているのか?
ただ、今回の前倒しでの緊急利下げにもかかわらず、株価が下落したことは、マーケットが示したサインとして大きな意味を持っていると思います。
通常であれば、利下げを行えば株価にとっては上昇要因となります。
米国も2019年に数回の利下げを行っていますが、マーケットからは、どれも好意的なものとして受け止められていました。
当然、今回の緊急利下げは、マーケットからすると想定外のサプライズです。
そのため、これまで通りであれば、マーケットからは驚きとともに株価の上昇に繋がったはずです。
しかし、今回はものの数分レベルで下落に転じてしまい、終値ベースでも大幅な下落となってしまいました。
これは、何を意味しているのでしょうか?
ひとつ言えるのは、投資家がマーケットに対する見方が、昨年までと変わったことは明らかです!
つまり、今回の緊急利下げは、米連邦準備制度理事会(FRB)自らが、新型コロナウイルスによる経済への悪化が、それほど酷いものであると言うように解釈していると言うことを、 裏付けてしまったとも言えるのです。
このため、今回の緊急利下げは、金融市場にとっては寧ろ不安を広げると言った逆効果になってしまいました。
リーマンショック時も、金融政策をするも、株価や為替は、想定とは逆の方向に動く傾向にあった!
思い返してみると、リーマンショック時の下落相場では、各国の財務大臣や中央銀行総裁が集まって、株価上昇や為替安定化に向けた協調姿勢を示すことが度々ありました。
しかし、その度に、株価や為替は、寧ろ期待とは逆の動きとなって行くと言った悪循環に陥っていました。
正に今回の サプライズ的な緊急利下げにもかかわらず、株価が大きく下落したことは 、リーマンショック時の動向と重なる部分がありました。
勿論、今回の株価の大幅下落が、不景気への転換点になっているのかはわかりません。
当然、反転して上昇に転じるの可能性もあります!
ただ、今回のサプライズ的な緊急利下げにもかかわらず、株価が大きく下落したことは、マーケットの不安心理を色濃く示したものと言えそうです。
今後は更に、新型コロナウイルスが経済指標や企業業績の下方修正など、目に見える形で悪化した数値が出てくることが想定されます。
当然、これほど大規模に企業活動に悪影響を及ぼしているので、直近における業績の下方修正が多く出てくることはは、ほぼ間違いないと思います。
ただ、重要なのは、この業績への悪影響が長く続くかどうかです。
仮に直近の業績が悪化したとしても、その先の業績改善が明確であれば株価は、ある程度すると上昇することが見込まれます。
しかし、問題が長引けば、株価の上昇は期待出来ず、更にもう一段、下落する可能性が高くなります。
現在の状況を見ていると、早期に新型コロナウイルスの問題が解決するとは思えません。
そのため、株価は超短期ではリバウンドする可能性は高いですが、やはり中長期的な上昇トレンドに転じる可能性は低いと考えています。
今回の、サプライズ的な緊急利下げにもかかわらず、株価が大きく下落したことは、正にマーケット自体も問題が長期化することを織り込み始めていると言えるのではないでしょうか。
当面の間は、こうしたちょっとしたマーケットの変調に目を光らせていく必要がありそうです!!