投資で損切り(ロスカット)の必要性が分かっても、実際に損切り出来ない場合、どうしたら克服出来るのか?(後編)

損切り(ロスカット)が出来ないのは、どのような理由なのか?

投資を続けていく中で、損切り(ロスカット)をしなければならないと分かっていても出来ないという人は多いのではないでしょうか?

そして多くの人が、損切りが出来ないのは、自分の「メンタル」が弱いためだと思っているのではないでしょうか?

また、別の方は、そもそも損切りは人間の感情に逆行するものであり、逆指値などを機械的に設定し、人の感情を介在せずに損切りを行うしかないと思っているのかもしれません!

そして、こうした考え方に従って、メンタルを鍛えたり、逆指値を設定したはずなのに、またコツコツドカンを繰り返してしまったりしていないでしょうか?

ただ、こうした文章を読んで、ドキッとして「それ、私のことじゃん!!」と思った方は、かなり投資に対して真摯に向き合っている人なんだろうなと思います。

一方で、余り何も感じなかった方は、余り投資に対して深堀が出来ていないのかもしれないですね・・

損切りが出来ないのはメンタルが弱いからなのか?

因みに、この記事は「前編」からの続きとなります。

そのため、まだ「前編」を読まれていない方は、以下の記事を先に読んで頂いた方が、この記事も理解し易いかなと思います。

もし、まだ読んでない場合は、先に以下の記事の方から読まれることをお勧めします。

少し話が逸れたので戻します。

冒頭でも触れましたが、損切りが出来ずに悩んでいる人は多いのだと思います。

折角、コツコツと利益を積み上げて来たのに、たった数回の負けで、稼いだ利益をすっ飛ばしてしまったという経験があるのではないでしょうか?

そして、損切りが出来ずに大きな損失を被ってしまったことを後悔し、損切りを必ずするためには「メンタルの改善」が必要だと考えます!

そして、次こそは絶対に損切りをするぞと心に誓い、どのようにしたらメンタルが改善されて損切りがスムーズに出来るのかと考えます。

しかし、明確な答えが導き出せないまま、取引を続けた結果、また損切りが出来ずに大きな損失を被ってしまうのです。

こうなると、「損切りが出来ないのはメンタルのせいではない」と感じ始めます。

そしてブログやYouTubeなどで「プロスペクト理論」などを勉強し、人間は本能には抗えないので、人の感情を介在せずに損切りを行う必要があると考えます。

最初は、上手く逆指値などによって損切りがうまく出来たりするものです。

しかし、

流石にこの価格まで来ているので、そろそろ反転するだろうと、値ごろ感だけで損切り価格を動かしてしまった。

使っている証券会社で損切りを入れれる期間が決まっている。その日付を越した時に、改めて逆指値を入れなおさなければならなかったのだが設定しなかった。

損切りを置かなかったため、一時的に大きな含み損が発生していたのだが、上手く反転して建値まで価格が戻りプラマイゼロ円付近でエグジット出来た。そのため、損切りの感が方が当初から変わってしまった。

損切りの考え方が正しいのか不安になり、そのうちに設定しようと思ってまずはエントリーしてしまい、結局逆指値を設定しないうちに大きな含み損が発生してしまう状況となった。

等々、様々な理由から逆指値の設定が甘くなったり、そもそも設定をしないなどが生じたりします。

すると、結局、逆指値も人間の感情に左右されるものだと悟り、またメンタルを鍛えるしかないと、堂々巡りを始めるのです・・。

そして、こんなことを繰り返しているうちに、結局コツコツドカンを繰り返してしまうのです。

因みに、そんな人はいるのでしょうか?

・・・・

・・・・

はい、います!!

・・・・

・・・・

私です(笑)!!

・・・・

・・・・

損切りを克服するためには、結局、どのようにすれば良いのか?

まあ、茶番はさておき、上記は全て私の実体験です・・。

で、結局、どう考えるようになったのか?

それは、

「そもそも、性格上、損切りが苦手な人は、当面の間は損切りの失敗を繰り返すしかない・・」

と言うことです!

完全に、私の持論なので、正しいのかどうかは知りません。(笑)

ただ、案外、多くの人に当てはまるのではないでしょうか?

では、こうした損切りを出来ないという悩みを克服するにはどのようにしたら良いのでしょうか?

どこに問題があるので、克服出来ないのでしょうか?

それは、「損切りルールが明確でない」からです!

ここ、めちゃくちゃ重要です。

勿論、損切りが出来ないのはメンタルの問題は重要ですが、そもそも損切りルールが明確でなければ、メンタルが強い・弱いは二の次です。

更に逆指値等によって、人の感情に左右されないように損切をしようと思ったところで、損切りルールが明確でなければ、その逆指値が正しいのか不安になります。

すると、ちょっとした心の変化で逆指値を動かしてしまうのは、考えてみれば当然のことです。

言われてみれば、ごく当たり前のことですが、このように整理すべき順序を間違えている人は案外多いのではないでしょうか?

ただ、このような話をすると、「損切りルールは作ってあるが、損切りが出来ない」と言った人が出て来そうです。

その場合、本当に、その「損切りルール」はトライ&エラーを繰り返して、自分の中で納得できるレベルまで落とし込めたものなのかを自問する必要があります!

例えば、

分かり易い例で言うと、損切りは2%にすべきなどと言った言葉を目にすることが有るかと思います。

投資苑で有名なアレキサンダーエルダー博士も

「1トレード当り、運用資金の2%を超えるリスクをとってはならない」

と述べています。

デイトレなどを行っている人の場合は、妥当な割合なのかもしれませんが、中長期取引をしている場合、2%で損切りしていては、ほぼ負け続けるだけです。

また、同じデイトレをしている人であっても、手法によっても大きく異なって来ます。

仮に運用資金ではなく、1取引の投入額の2%で損切りを行うとした場合、仮に逆張りで取引を行おうとすれば、ほぼピンポイントで天井か大底を当てなければ、毎回損切りを行うことになります。

株式投資において、2%の値動きなどは、ごく当たり前のことであり、日によっては10%以上動くことも珍しいことではありません。

重要なのは、本に書いてあるものを鵜呑みにして、単純に設定したものでは全く意味が無く、自分なりの投資手法の中で、どのように設定するのが最適解なのかを、トライ&エラーを繰り返しながら探し続けるしかないのです。

当然ですが、上記は一例に過ぎずません。

  • 自分の投資手法はどのようなものなのか?
  • その手法には、どのようなエッジがあり、どのような手法・考え方によって利益を得ようとしているのか?
  • 但し、投資には負ける場合もある。但しトータルでプラスにして行くためには、損失はどのような割合に留めなければならないのか?
  • 損失を、上記のような損失に留めるには、どのような状況になったら損切りをしなければならないのか?
  • その手法の勝率の期待値は、どのようなレベルなのか?それは想定されるリスクリワードレシオを考えた際に適正なものなのか?
  • 損切りは「損失割合」を固定する?
  • 損切りの絶対額を固定し、価格のボラティリティを想定しロット数で調整する?

等々、損切りルールを決めるために、整理すべき観点は本当に沢山あります。

そして、それらの最適解を自分なりに落とし込むために、貴重な実弾をマーケットに投入し、時に想定外の損失を被りながらも、トライ&エラーを繰り返して調整して行くしかないのです。

更に難しいのは、マーケットの状況は、逐次変わって行くので、それに応じてルールを適合させていくのか、マーケットに影響されずに固定のものとするのかも考える必要があります。

また、完成したと思っても、取り巻く環境が変わったり、自分の投資手法も逐次改善されて行くはずなので、ルールが完成すると言うことは無く、随時、改良を重ねて行く必要が生じます。

しかし、残念なことに、こうした改善を重ねていく間は、損切りルールが不明確なため、ここで損切りをすべきか、それともホールドすべきかの判断が甘くなりがちです。

そして、損切りをためらい、損失を膨らませてしまうと言うことが多発するのです。

更に厄介なのは、損失が膨らんでしまうと、切るに切れなくなり、塩漬け株になってしまうのです。

こうなると、もう自分のエントリー額に戻ってくれと祈る事しか出来なくなります。

しかし無情にも株価は更に下落し、完全なる塩漬け株となってしまい、見向きもしなくなり貴重な資金が拘束されてしまうことになるのです。

このようになってしまうと、投入できる資金も限られてしまいます。

そして、貴重な残り資金を投下するものの、また損切りが出来ずに塩漬け株を増やしてしまうか、思い切って損切りをしたところが大底(天井)だったと言うことになってしまうのです。

結局、損切りは最初からうまく出来るものではなく、失敗を経験しながら徐々に精度を高めて行くしかない

このように考えると、結局、「損切り」は最初からうまく出来るものではなく、失敗を経験しながら徐々に精度を高めて行くしかないと割り切ることが重要です。

トライ&エラーを繰り返すには、一定程度の売買を繰り返す必要がありますので、ある程度の期間が必要となります。

また、貴重な自分の資金を投入する必要がありますが、どれだけ努力したとしても失敗するリスクはあり、頑張れば頑張るほど資金が減ってしまうと言う辛い状況に陥ったりします。

恐らく、多くの人が、こうした現実に真正面から向き合わないか、克服する前にマーケットから退場してしまうのだと思います。

しかし、こうした「イバラの道」にしっかりと向き合って、失敗を糧にして微修正を繰り返して行けば、必ず上達していくものです。

このようにしてルールが明確化されてくると、今回の損切はトータルで勝つためには必要な負けであったと割り切ることが出来るようになります。

勿論、そのままホールドしていた方が利益が出ていた場合もあるため、悔しい思いをすることはありますが、そこは割り切るしかありません。

ただ、損切りルールが明確化し、それを実態として運用できるようになってくると、損失額がコントロールされてくるようになります。

少なくとも、何度か繰り返していく中で、明らかに自分が想定していなかった失敗を犯した場合でも、被る損失が少なくなって来ていることを実感するはずです。

それでも、自分が全く想定出来ていなかった事態によって、想定より大きな損失を被ることも稀にありますが、それでも死なないようにコントロール出来てくるようになるものです。

投資の世界においては、マーケットに居続けることが何よりも重要ですので、仮に勝ててないとしてもマーケットに居続けられる状況を作れているのであれば、それだけでもじゅうぶんなのかもしれません。

そうして投資を続けていく中で、少しずつ腕を磨いていけば、時流が合う時期がやってきて、大きなリターンをもたらしてくれる可能性が高まりまるのです。

損切りが克服出来ずに悩まれている方は、損切りルールが明確であり、且つ自分の中に落とし込めているものであるかを、再確認されることをお勧めします。

そして、もしそこに不安があるのであれば、暫くは失敗取引が続くことを覚悟の上で、トライ&エラーを繰り返しながら改善を重ねて行く必要があります。

その際に大切なのは、損失が出ることを想定して、ロット数を小さくしておくことが重要です。

そこで、やり方が確立出来れば、またロット数を大きくすれば良いだけですので、まずは自分でも笑ってしまうくらい小さなロットで取引してみることをお勧めします。

皆様も、損切りを克服するために、どのような努力をされて来たか、どうやったら克服できたか等がありましたら、コメント欄で共有して頂けると幸いです。