株式投資において「優待先回り投資」が、投資初心者にお勧めな理由とは?
皆様は、優待先回り投資はご存じでしょうか?
恐らく、多くの方が「今更!?」と思ったと思います。
ええ、仰る通り、既に投資マーケットでは知れ渡っている手法であり、既にやや陳腐化してしまった感があるのも事実です。
ただ、この優待先回り投資は、エントリー理由やエグジット(利確・損切り(ロスカット))が明確であり、特に初期段階の投資家の方にはとてもお勧めの手法だと思います。
また、企業業績だけでなく、株式の需給に着目して投資を行うことになりますので、需給と株価の関係性を学ぶ上で非常に勉強になる手法です。
優待先回り投資とは、どのような手法なのか?
さて、そもそも「優待先回り投資」について、まだご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、軽く概要について説明させて頂きます。
まずは、以下のチャートを見て下さい。
これは、ダイナックホールディングス(2675)のチャートとなります。
直近の2020年度は「コロナショック」が発生したため、チャートの形状が大きく変化してしまっていますが、2016年~2019年頃のチャート形状を見て頂くと周期的なパターンで株価が推移しているのが分かるかと思います。
注目して頂きたいのは、各年の「7月」と「1月」になります。
ぱっと見た感じで分かるかと思いますが、2016年~2019年頃の間は「7月」と「1月」に、周期的に株価が下落しています。
また、出来高も綺麗に、上髭のようなものが定期的に出ています。
そして、次の「6月末」と「12月末」に向けて株価が上昇し、また「7月」と「1月」になると株価が下がると言う繰り返しとなっています。
では、この「6月末」と「12月末」になにが起きているのでしょうか?
まあ、質問をするまでも無く、既に想像できているかと思いますが、「6月末」と「12月末」が株主優待などの権利付き最終日となっています。
このダイナックホールディングス(2675)は、『響』『パパミラノ』などレストランとゴルフ場内食堂受託を行っている会社で、株主優待としてお食事券を貰うことができます。
つまり、多くの投資家が「6月末」と「12月末」の株主優待の権利を取得するために株式を購入し、権利が確定したら売却すると言ったことを繰り返しているのです。
このように優待先回り投資とは、こうした周期的なパターンを先回りし、株価が下落している時期に株式を購入し、逆に「6月末」と「12月末」の優待の権利が付く前に売却することで、キャピタルゲインを得る手法となります。
優待先回り投資が、投資初心者にお勧めな理由とは?そのメリットとは?
但し、こうした手法は既に知れ渡っており、株価の上昇時期が早まったり、そもそも周期的な動きをしなくなったりするなど、変化が生じている場合が多々見られます。
しかし、まだ周期的な動きを繰り返している銘柄もあり、特に投資初心者の場合は、こうした銘柄への投資を通じて投資力を高めていくにはお勧めの手法だと思います。
お勧めの理由は、幾つかあります。
1つ目の理由とは?
1つ目の理由は、エントリー(購入)・エグジット(売却)理由やタイミングが明確であると言うことです。
そもそも論となりますが、投資を行う上では、どのような観点で利益を得て行くかを明確にする必要があります。
例えば、小型成長株の場合は、会社が中長期的に成長していくことを想定し、今のうちから株価を買っておいて会社の成長と共に株価の上昇を期待する投資となります。
こうした銘柄の多くは、既に高PERになっておりますが、EPS(一株あたりの利益)が急拡大するのであれば、現在価値に割り戻せば割安と判断することが出来ます。
このように、企業の将来における業績を分析する能力が無ければ、永久に投資をすると言う判断を下すことは出来ません。
また、バリュー投資の場合、株価とその企業資産・業績などから算出した本源価値とを比較する必要があります。
そして、株価と比較して、算出された本源価値が安価になっており、更に安価で放置されている理由が無ければ、何れ株価は見直されるだろうとの想定から購入することになります。
然しながら、バリュー投資の場合でも同様に、企業業績の分析が出来なければ、こちらも購入の判断をすることは出来ません。
では、この優待先回り投資はどうなのでしょうか?
勿論、企業業績が大幅に悪化することが明白な場合で、更にそれがマーケットに知れ渡っていない場合は、株価が急落する可能性がありますので、業績分析に対する知識は不可欠です
但し、この手法の場合は「6月末」と「12月末」までに株価が上昇し、権利確定後の「7月」と「1月」に株価が下落するといった株価の推移が想定出来ます。
そのため、「6月末」と「12月末」までに購入して売却するという仮説を置いて投資を進めることが可能となります。
ですから、「エントリー理由」は明確です!
また、「エグジット理由」も明確となります!
これは、とても重要です!!
当然ですが、投資を行う場合は、エントリー時の仮説が必ずしも想定通りになるとは限りません!!
そのため、想定通りに行かなかった場合は、損切り(ロスカット)が不可欠なのですが、この優待先回り投資の場合はエントリー・エグジット理由が明確です。
よって、株式を購入後、仮に「6月末」と「12月末」までに株価が上昇しなかった場合でも、どのタイミングでロスカットをすべきか明確であり、迷うことはありません!
これにより、初心者が陥りがちな、塩漬け株になることを防止することが出来るのです!!
2つ目の理由とは?
また、お勧めできる2つ目の理由としては、この優待先回り投資は「株式の需給」を学ぶには非常に良い手法だからです。
通常、株式投資とは、短期的には「美人投票」となっています。
この美人投票ですが、
例えば「Aさん」「Bさん」「Cさん」の3人の女性がエントリーしており、参加費を払えば3人のうち誰かに投票をすることが出来るものとします。
そして、投票で選ばれた女性と同じ人を選んだ場合は、賞金が貰えるものとします。
この場合、賞金を貰うためには、他の人がだれに投票をするのかをよく考える必要があります。
自分の好みが、世間一般とかけ離れている可能性もありますし、参加している人の年齢層等によっても選ばれる人が変わって来る可能性がありそうです!
このようにして、本来は自分が美人と思う人を素直に選べば良いはずなのでしょうが、他人の動向を推測し、自分の投票先を決めてしまうのです!
結果として、本命視されていた人が選ばれず、余り想定されていなかった方が選ばれたりするのです!
株式市場でも同様であり、ある事象(材料など)が発生した場合でも、多くの人がマーケット参加者の行動を裏読みしようとします。
結果として一般的に想定される方向とは違う形で株価が推移したりします。
但し、株式市場では、こうした美人投票が連続的に行われるため、思考が交錯し、結果として需給はバランスされることになります。
通常の株式相場も同様で、株価が歪に動くと、直ぐにそれを改善しようとする動きが発生するため、需給のバランスは保たれ、今後の株価がどのように動くかを明確に想定するのは非常に難しい状況になっているのです。
そのため、このように株価の動向で方向性が見いだせない場合、仮にエントリーしたとしても五分五分の勝負となってしまいます。
いや、手数料がある分、その時点で負け勝負とも言えます。
これを防ぐためには、一定の方向に進む可能性が限りなく高いという状況でエントリーする必要があります。
つまり、このどちらかに株価が進む可能性が高いと言う方向性を見極めることが出来れば、エントリーする価値が出て来るのです!
では、それをどう見極めたら良いのか?
それは、株式の需給の偏りから、株価の方向性を仮定するのです。
当然のことですが、ある会社の株式を欲しいという人が多くなるのであれば、予め先回りして購入しておけば儲かる可能性が高まります。
逆に、こんな会社の株はいらないと言う人が多くなるのであれば、先回りして売っておけば良いのです。
極めて単純です!!
ただ、どのようにして見極めれば良いのでしょうか?
それは、
「買わざる得ない人」「売らざる得ない人」が、発生するタイミングを掴むと言うことです。
これ、メチャクチャ重要です!!
重要なので、大文字にしておきます(笑)
因みに重要なポイントは
「~ざるを得ない」
のところです!
ちょっと想像してほしいのですが、株主優待を欲しい人はどのような人でしょうか?
株主優待は、雑貨や食事券などが多く、機関投資家などのプロではなく、主婦などの個人投資家が多そうだ言うのは想像出来るかと思います。
こうした個人投資家は、株主優待を得ることを目的に投資を行っている場合が多く、株主優待が欲しいから購入する、株式優待を貰えたから売却しようと言った理由で売買を行いがちです。
つまり、こうした行動によって、株式の需給が偏ることが想定され、その裏を取った取引を行うことで投資の期待値が高まるのです。
因みにですが、小型成長株であっても、バリュー投資であっても、ある意味、こうした将来的に需給が偏ることを事前に業績から察知して、予め買って(売って)おくという意味では同じとも言えます。
ただ、小型成長株であっても、バリュー投資の場合は、時間的な要素などを利益の源泉として捉えることになります。
そのため、需給の偏りがいつ発生するかと言うのは読み難く、想定通り株価が上昇したとしても長い年月を費やしてしまったということが起きたりします。
一方で、この優待先回り投資の場合は、保有期間が数ヶ月と短いため、資産を有効に回転させることが出来ます。
とは言え、リターンはそれほど多くを望めないので、長い年月をかけたとしても小型成長株の方がリターン率は高かったりする可能性は高まります。
話が逸れてしまったので戻しますが、株式投資を行う場合は、重視すべき視点は色々とあり、どれに重きを置くかはその人によって変わって来ます。
但し、特に投資初心者の場合は、上記のような理由から取り組みやすい手法であり、お勧めの投資手法だと思います。
更に言うと、株主優待が厚い銘柄は、個人投資家が長期で保有している場合も多く、大きく下落しない可能性が高いのもメリットとなります。
ただ、今回のようなコロナショックなどが起きてしまえば、大きく下落してしまいますので注意は必要ですが・・。
優待先回り投資を、コロワイド(7616)でやってみた!
因みに、私はこの優待先回り投資は、ここまで語っておきながら余りメインでは使っていません。(笑)
ただ、先日、以下のような記事を書いており、実際に優待先回り投資を行っています。
まだ、読まれてない方は、先に読んで頂いた方が、この先は分かり易いかと思います。
因みに、投資した銘柄ですが「コロワイド(7616)」となります。
「かっぱ寿司」などで使えるお食事券が貰える銘柄として有名ですね!
正直、この銘柄は「ダイナックホールディングス(2675)」ほど綺麗なチャート形状にはなっておらず、優待先回り投資と言って良いのかは疑問ではあります。
1/6・7にエントリーしたのですが、これは緊急事態宣言は発令されるとニュースが出回った直後に、株価が大きく下落したタイミングで購入しています。
この下落によって、緊急事態宣言は株価に織り込まれていると判断しました。
また、2月上旬に業績発表がありますが、業績が芳しくないことは株価に織り込まれていると判断しました。
このような状況の中、売り残が大きく膨らんでおり、株価は一時的ではありますが、下落し難い状況になっていると判断しました。
一方で、3月末の権利付き最終日に向けて、株主優待の権利を獲得するための買いが入って来る可能性も想定されたため購入に踏み切ったという訳です。
但し、相場全体が高値圏になっており、また2月上旬に業績発表の結果が株価に織り込まれていない場合は、株価は下落する可能性はあります。
そのため、3月中旬には、利益が出ていても出ていなかったとしても売却することを決めてエントリーを実施しています。
まあ、想定通りと言うか、地合いが良かっただけなのかは分かりませんが、無事プラスで終わることが出来ました。
なお、私個人は逆指値を徐々に切り上げて行く方法を取っており、想定レベルの含み益が確保できた中で、相場全体の下落懸念や2月の業績発表を考慮して、逆指値を厳しめに上昇させた結果、少し早めの利確となりました。
そもそも、ダイナックホールディングス(2675)のような周期的なチャート形状とも言い難く、また新型コロナウイルスによる影響で、株価の推移が大きく変わってきています。
そのため、自分で書いておきながら何ですが、正直なところ、これを優待先回り投資と言えるかは疑問です!
まあ、これを言ってはお仕舞ですが!(笑)
とは言え、色々な要素から自分なりの仮説を立て、それに基づいて投資を行っており、その材料の一つに株主優待があったのは事実でし、そうしたプロセス(思考)は、少しは皆さまのお役に立つかなと思って記載させて頂きました!
まあ、正直なところ、今回の株価が動いたのは、実際は株主優待の先取りは余り影響なかったと思ってますけどね・・(笑)
因みに、今回はお遊び程度しか購入していませんので、利益が出たとしても微々たるものですが、ご参考までに載せておきます・・
今後、株価はどのような推移を辿るのかは引き続きウォッチし、自分の投資経験値の1つとして積み上げて行きたいと思っています!
皆様も、このような株式の需給が偏るような状況(イベントとか材料とか)が見つかりましたら、是非、コメント欄で共有してもらえると嬉しいです!!