消費者物価指数(CPI)は8.6%上昇!インフレは止まらず、株価下落は続くのか?
米国労働省が6月10日に発行した消費者物価指数(CPI)は、事前の市場予想の8.3%を上回りが8.6%となりました。
今年に入ってインフレ抑止のため、FRBでは利上げを開始しておりましたが、依然としてインフレ傾向は収まる気配はありません。
また、前日の6月9日には、欧州中央銀行(ECB)に6月9日に0.25%の利上げを実施すると発表しており、これに伴って6月10日のNYダウは-880と大きく下落しました!
まあ、この辺りはニュースを見れば、誰もがわかることですね・・
ただ、要注意なのは、今回の下落の直前に株価は上昇しており、底入れしたと思って大きく買いに走った人です・・
今回の消費者物価指数(CPI)の発表前には、既にFRBにより利上げが実施された結果、既にインフレ傾向に抑止が掛かったといった憶測が出た時期などもありました。
こうした情報を鵜呑みにして、株価が一時的に反転したからと言って、勝手にトレンドが変わったと解釈し、大きく勝負に出るのは非常に危険です。
少なくとも、通常は0.25%の利上げに対して、続けざまに0.5%の利上げを行うことのインパクトを、しっかりと理解しておく必要があります。
通常であれば、FRBはマーケットとの対話を通じながら、ある程度景気が鈍化するのはやむを得ないとしたうえで、徐々に利上げを行っていき、経済への悪影響を最小限にとどめようとします。
これが上手くいけば、ある程度、利上げは続きますが、徐々にインフレが抑止されて行き、経済への悪影響も最小限になる可能性があります。
しかし、現在のFRBの姿勢を見ていると、利上げによってソフトランディングしていこうというよりは、ハードランディングになってしまってでも、早期にインフレを抑止しようという傾向が見て取れます。
つまり、現状では経済にある程度の大きめのマイナス影響が出てしまってでも、インフレを早期に抑止しようとしているということです。
この場合だと、インフレの暴走は抑止できるかもしれませんが、経済自体へのマイナスは大きなものとなる可能性があります。
更に最悪なのは、利上げを行ってもインフレが収まらない場合です。
この場合、インフレによってモノの値段が上がるにもかかわらず景気が悪化するという、スタグフレーションに陥ってしまいます。
現在では、1番目のソフトランディングを目指すというよりは、3番目のスタグフレーションに陥るのを防ぐために、2番目の経済への悪影響を覚悟してでも、インフレの暴走を止めに行っているように見受けられるのです!!
このように考えると、このタイミングで、「利上げが早期に解消し、マーケットが再び上昇局面に入る」と考えるのは、少し甘いのではないかと感じざるを得ません。
現在の利上げを開始し始めたばかりのタイミングで、ちょっとしたマーケットの切り返しでトレンドが変わったと思って大きく買いに走るのは危険です。
勿論、今後のマーケットがどのようになって行くかは、誰もが分かりませんが、何倍もしっぺ返しを食らってしまう可能性があることを、意識しておく必要があります。
とは言え、ベア型の投資手法に慣れていない方が、無理にベア型投資を行うと、簡単に踏みあげられてしまう可能性もあります。
どのようにするかは、人それぞれですが、方向氏が分からなければ、現金ポジションを大きくして、保守的なポートフォリオにしておくほうが無難なのかもしれません。
ただ、どうしても買いで勝負をしたい場合は、資源株などのインフレが追い風になる銘柄に絞るほうが良いのかもしれません。
ただ、注意なのは、冒頭でも述べた通り、利上げによってソフトランディングできれば良いのですが、ハードランディングになってしまった場合は、こうした資源株も要注意となります。
当然、経済自体が減速してしまえば、購買意欲も悪化しますので、こうした「しくり株」自体も下落につながる可能性は出てきます。
とは言え、しばらくの間は、インフレによる恩恵を享受できるでしょうから、もう少しの間は資源株で遊ぶことは可能かなと思いますが・・
保有資産が、マーケットトレンドにあっていないと感じた場合、初動でどのように対処するかが重要!
因みに、日本のマーケットに目を向けてみると、ナスダックなどと比較すると、比較的、穏やかと言えるのかもしれません。
要因は、色々とありますが、円安傾向が日経平均の下支えになっていると感じています。
日本銀行に関しては、かたくなに利上げを拒否していますので、円安傾向は続くことが想定されます。
確かに、これ以上円安が続くと、口先介入だけでなく、実際の介入自体も懸念されてくるので、ある程度は上値は重くなってくることは想定されます。
ただ、円高傾向に反転するには、日銀の方針変更が必要ですが、利上げを容認してしまえば、マーケットに大きなインパクトがあり、大きく株価も崩れるのは明白です!
黒田総裁の任期は、2023年月までと迫ってきており、そこまでは何としても踏ん張りたいのでしょうからね・・
ですから、そう簡単に方針転換するとは思えません!
ただ、果たしてマーケットがそれを許してくれるのかはわかりませんが・・
何れにせよ、リーマンショック以降、右肩上がりで上昇してきたマーケットにも、大きな変化が生じているのは明白です。
自分の持っているポートフォリオが、現在のマーケットで勝てる方向にベットされているか再確認し、耐える方向にベットされているのなら、勝てる方向にベットし直す必要があります。
少なくとも、方向性が分からないのであれば、現金化をしておいたほうが安全です!
そうでなければ、長い期間、ジリジリと資産を減らされて、精神的に辛い状況に追い込まれてしまうことも否定できません。
マーケットは、方向性が出ると、とことんまで行ってしまう傾向があるので、初動の段階でどのように対処するかが、その後の自分の運命を決めるということを、常に肝に銘じておく必要があるのだと思います!