CPIは市場予想を下回る!インフレは鈍化し、株価は上昇に転じるのか?

米国消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回る!インフレは鈍化し、株価は上昇に転じるのか?

米国の7月消費者物価指数(CPI)の発表があり、前年同月比で8.5%となりました。

確かに、米国ではガソリン価格は下落傾向にあり、今回のCPIは、6月の9.1%と比べて下落するだろうと想定されていました。

但し、事前の予想は8.7%でしたが、更にそれを下回って8.5%になったことにより、株価は急上昇し、為替(ドル円)は円高に動きました。

今回のCPIの結果から、インフレはピークアウトし、FRBによる急速な利上げも和らぐのではと言った見立てが強くなっています。

そのため、長期金利の低下や今後の利上げ幅の縮小予想が強まったことによって株価は上昇しました。

また、ドル円は金利差の拡大が抑止的になることから円高に動いています。

特に、株価に関して言えば、金利上昇に歯止めがかかってくると、グロース系の株式は上がりやすくなります。

既に、7月頃からグロース系銘柄は、やや上昇傾向にあり、これらの動きを先取りしていたのだ思います。

インフレはピークアウト?株は全力買いで良いの?

では、このまま株価は上昇をしていくのでしょうか?

全力買いに転じても良いのでしょうか?

流石に、それは危険すぎるかなと思います。

カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁やエバンス・シカゴ連銀総裁からも、CPI発表後に依然としてタカ派よりの発言が出てきます。

今回、CPIの上昇が鈍化したとはいえ、依然として高水準にあるのは事実です。

つまり、「全ての霧が晴れたわけではないです~」よと言うことなのだと思います。

因みに、マーケットでは、9月の利上げは依然として0.5~0.75%を見込んでいます。

通常は、0.25%ですから、0.5%でも高い利上げ幅です。

確かに、こうした高い利上げが続くことで、インフレ自体は下落傾向に誘導される可能性はあります。

しかし、インフレの抑止と引き換えに、消費自体が落ち込みリセッションになることも懸念されます。

FRBは、景気を鈍化させても、インフレを抑えに行くという強い意志を示しています。

景気自体が鈍化してしまえば、いくらインフレが鈍化しても、企業は物が売れず業績が悪化することが見込まれますので、株価の押し下げ要因となります。

ですから、ここで一気に全力買いに走るのは危険です!!

とは言え、ある程度利上げを完了してしまえば、リセッション後は利下げも可能となってきます。

利上げがある程度、ピークアウトし、リセッション入りが鮮明になって来たころは、買いの絶好のチャンスになるのかなと思っています。

ただ、日本の場合は、日銀が利上げは頑なに行わないスタンスなので、リセッションが来ても金利を下げる余力がないことになります。

日本のインフレ率はまだ低いため、世界から遅れてインフレが続いた場合、リセッションが来てしまうと、スタグフレーションに陥る可能性もあります!

ただ、世界的には物価が下落傾向にならない場合は、程よい物価上昇になるのか・・?

黒田総裁の任期も、限られてきていますし・・

世界の金利政策からは、ずれていますし、不確定要素も多いことから、日本市場の読みは、少し難しいですね・・!

何れにせよ、直近では株価も上昇する可能性はありますが、不安材料も多くそれらが顕在化すると一気に株価は落とされます。

また、世界的にはQTによって、マーケットから資金を吸い上げているということも、しっかりと意識しておく必要があります。

つまり、決して緩和に舵を切りなおしたという訳ではなく、引き締めの手綱が、若干、緩和気味になるかもと言う憶測が、少し広まったという状況に過ぎません。

とは言え、落としきるほどの材料にも乏しいので、しばらくの間は上下動が繰り返されるような相場が続くのかなと思っています。

暫くの間は、マーケットの動向を見極めながら、安全運転に徹して行くのが良いのかなと思っています。