投資で複利運用が重要なのはわかるが、ロット数を増やすのが簡単ではない理由とは?

投資で複利運用が重要なのはわかるが、投入資金を増やして行くのが、簡単ではない理由とは?

投資で資金を増やす際に、複利で運用して行くことは重要です。

ただ、そんな事は誰もが知っていることであり、それほど目新しい情報でもありません。

多くの場合、複利で運用と言う話になると、単利で運用した場合と比べて、指数関数的に資金が増加して行くといったような話となります。

まあ、理論としては仰る通りですし、本気で資産を増やして行こうと思う場合には、複利での運用は避けては通れません!

しかし、頭では分かっていても、実際に複利で資金を増やして行くサイクルに持っていくのは、言葉で言うほど簡単なことではありません。

当然のことですが、投資で勝てるようになっていない人が、手元に現金資金が潤沢にあるからと言って、投入資金を増やしてしまえば資金が尽きるスピードを速めるだけです。

実際に、私も、複利運用で資金を増やして行くために、過去に何度か投入資金を増やそうと試みたことがありました。

当時は、まだ自分の投資手法が定まっておらず、損失リスクを抑えるために、手元資金のうち2~3割くらいしか資金投入をしていませんでした。

そのため、常に現金ポジションを手元に残している状況でした。

しかし、資金増加のために複利での運用は不可欠であることも頭では理解しており、試験的に、一定程度の勝ち数を重ねたら、1ロット当たりの投入資金を25%増やして取引を行うようにしました。

逆に、一定程度の負けが続いた場合は、25%を減らして取引を行うこととしました。

結果として、50%増くらいまでは、恐怖に耐えながら増やすことは出来たのですが、結局のところ、何度も取引を重ねて行く中で、心地よいロットである当初の投入資金に落ち着いてしまいました。

その後も、色々と試行錯誤を繰り返しましたが、今では余り気にすることもなく、複利で資金を増やすようなロット管理が出来るようになっています。

なぜ、当初は投入ロットを増やそうとしても増やせなかったのに、今では気にせず必要な場面で資金量を増やすことが出来るようになったのでしょうか?

短期のスイングトレード(空売り)を行っていた際に、複利運用が出来なかった理由とは?

少し前の話になりますが、当時、私は天井圏での空売りばかりを行っていました。

業績に大きく寄与するような材料でもないのに、需給の好転により株価が急騰し、ファンダメンタル的には割高になった銘柄を選定し、天井圏から株価が反転し下落することを狙って取引を行っていました。

当初は、ロット数云々のレベルではなく、そもそも損切が上手くできず、踏み上げ相場をまともに食らてしまう状況でした。

そのため、小さく利益を取っては、大きく損失を食らってしまうという、コツコトドカンを繰り返している状況でした。

しかし、空売りの踏み上げは本当に危険で、損切が出来ないと本気で、少しでも躊躇をしていると一気に多くの損失を被ってしまいます。

そのため、否応なく損切を行うしかない状況に追い込まれ、何とか損切も呼吸をするかのように気にせず出来るようにはなりました。

こうして損切りが出来るようになるにつれ、損失額が限定されるようになってくると、ある程度トータルでも勝てているような状況となってきました。

このように手法がある程度固まってくると、次に思うのは資金をどのように増やすかと言うことです。

エントリー回数を増やしたり、保有期間を短くして資金回転を上げたりなど、色々と試行しましたが、寧ろ悪条件の中で取引を行うことも多くなり、余り有効ではありませんでした。

そのため、手法はこれまでと変えずに、投入資金量を増やすことで、資金の増加を目指そうと考えたという訳です。

結論から言ってしまうと、この方法も私自身は上手く行きませんでした。

と言うのも、当時行っていた天井圏からの空売りですが、自分が当初想定していたものと株価の動きは大きく乖離していました。

一般的に、需給で株価が急騰した銘柄は、短期間に急角度で下落するイメージがあるかと思います。

確かに、そのような場面はよく目にするのですが、それは祭りが終わってからの話です。

多くの需給相場は、大口の機関投資家などによって、相場がコントロールされており、含み損を耐え続けている弱小投資家を確実に損切に追いやってきます。

そして、そうした弱者が食い殺されてから、本来のあるべき株価に収束して行くのです。

そのため、天井圏から一気に反転して相場が崩れるというのは案外少なく、またそのタイミングも本当に想定し難いのが実態です。

また、運よく下がったとしても、騙しで、また元の水準に戻ってしまうということも多く発生します。

このため、利幅も良いとこで10%程度のことが多く、それ以下と言うことも多々ありました。

そのため、損切もかなり幅を小さくせざるを得ず、実際に損切はエントリーから3%以内で実施する前提とし、それでもリスクリワードが合う場合にのみエントリーを行っていました。

但し、3%程度の変動は、1~2日程度で簡単に動いてしまう値幅です。

ですから、ピンポイントでタイミングを合わせてエントリーしなければ、ほぼ損切りになってしまうというような取引状況となります。

それでも、損切りを徹底し、銘柄選定やエントリータイミングを厳選することで、利益額は大きくないのですが、トータルではコツコツと利益が積みあがって行くようにはなりました。

また、全体相場が大きく崩れるタイミングや、セクターローテーションの関係で資金が一気に抜けて行くタイミングに出くわすと、殆どの取引は勝ちになり、更に利幅も大きなものとなりました。

但し、こうした資金の大きな循環は、短くても数か月程度は続きますし、長いと年単位で続いてしまいます。

そのため、案外、一気に株価が反転して大きな利幅が取れるということは少なく、小さな利幅で終わってしまうことが大半でした。

とは言え、一定程度の勝ち数を重ねたことにより、複利運用を意識して、投入資金も「25%増」「50%増」と徐々に増やしていくことには成功しました。

しかし、同時に、利幅が少ないので思いのほか資金が増えていないという現実もあり、トータルで勝てるサイクルに入っているという確信は持つことは出来ませんでした。

このような状況ですので、今勝っているのは運が良いだけで、いつ負けが続くか分からないといった不安も頭に浮かんできます。

投入資金を大きくした状況で、負けを何度か繰り返してしまうと、損失額も大きくなってしまいます。

一定の負けが続いたら、投入資金を25%減らすという方針で取引を行っていたため、負けが続いて小さな投入資金に戻した場合、損失を取り返すためには、かなりの取引数が必要であり、相応の時間と労力を要することが容易に分かりました。

また、小さなロットに戻したからと言って、そもそも運よく勝っていただけだとすると、実力をつけて更に損失を取り戻すには相当の時間を要してしまうことになります。

それよりは、小さなロットでの取引を続けて、確実にトータルで勝てるようになったという確信を得てから、ロットを増やした方が良いのではと言う思いが強くなってきました。

このような状況もあり、結果として、自分にとって心地よいロットである当初の投入資金に落ち着いてしまったという訳です。

なぜ、投入資金量を増やして、複利運用が出来るようになったのか?

しかし、冒頭でも述べましたが、今では余り気にすることもなく、複利で資金を増やすようなロット管理が出来るようになっています。

これは取引手法を、大きく変えたことが大きく起因しています。

現時点では、売りは短期、且つピンポイントで行うこともありますが、大半は「買い(ロング)」での取引となっています。

また、手法も、小型成長株投資と、金融政策やセクターローテーションなどを鑑みて資金が集まる分野への投資に見直しを行いました。

前者は、余り多くを語る必要もありませんが、利益成長が続いている会社であり、且つ、今後のトレンドして資金が集まる分野の銘柄に投資を行っています。

後者で言うと、少し前で言うならば、インフレに伴うエネルギー関連株や、金融政策の変更思惑による銀行株などですね・・。

では、なぜ、このような取引に変えたことによって、複利で資金を増やすようなロット管理が出来るようになったのでしょうか?

色々と要因はあるのですが、一番大きな原因は、

「その取引が勝てる可能性が極めて高いという確信を持てるようになった」

ということだと思います。

以前の取引の場合、その銘柄にもよりますが、ファンダメンタル的な本源価値からは大きく乖離したような株価となっており、需給によって株価が推移するような状況が大半でした。

つまり、株価の動向は、どちらかと言うと、その銘柄を取引している人の「思惑」によって推移することとなります。

当然、他の人の売買動向や思考などを想定しながら取引は行うものの、どうしても美人投票的な要素が強くなってしまいますので、株価も想定とは異なる方向に動いてしまうことも多くなります。

更に、株価にファンダメンタル的な歯止めがかからないため、短期的にはどこまで損失が膨らむか分からない状況となり、損切りをしなければ大きな損失を被ってしまいます。

このため、人々の「思惑」「投資動向」等を鑑みて株価がこのように動くだろうという仮説に基づいて投資判断をすることになるため、「勝ち」に対する確信度も低く、負ける(損切り)ことを前提にしつつ、トータルで僅かでもプラスに期待値を持っていくという取引を重ねて行くこととなります。

一方で、見直し後の手法に関しては、一時的には需給によって株価は変動させられるものの、結局は業績の成長が株価に与える影響が大きすぎて、最終的には株価は業績に収束して行くだろうという考えが主眼となります。

そのため、業績の分析が間違っていなければ、長い目で見れば株価は業績に収束して行くだろうという、「勝ち」に対する確信度が高い状況となります。

当然ですが、資金効率も意識する必要があるため、テクニカル・金融政策からくる資金の流れ・トレンドによる需給の動向など、様々な要因を踏まえて、可能な限り最適なタイミングでエントリーする必要は生じます。

やや長めのスパンでの保有となりますが、含み損の増加によってコントロール不能の塩漬け株にするのを防ぐため、損切はかなり浅い幅で実施します。

このような観点からも、最適なタイミングでのエントリーは不可欠です。

また、別の観点としては、こうした銘柄は、一時的な需給環境によって株価の上下動はあるものの、一度動き出すと分かっていても誰もが止められないような一方的な値動きが続く傾向にあります。

そのため、少々エントリータイミングや利確タイミングを、外してしまったとしても、大きな利幅の中で僅かな利益を失うだけなので、トータルで勝つという部分に関しては大きな影響は与えません。

更に、上手くトレンドに乗れた場合は、かなり大きな利幅を稼ぐことが出来ます。

このように「勝ち」に対する確信度が高く、また失敗した場合でも、損失をある程度、コントロールできるようになって来ると、資金を多めに入れても余り怖くは無くなってきます。

勿論、このような状況であっても一定程度の失敗取引になってしまう可能性はありますが、成功取引になれば相当に資金の増加に貢献してくれます。

ですから、資金を多めに入れるのが怖いというよりは、確信度が高い場合は資金を多めに入れる方が理にかなっているため、理性的に判断して多めの資金を入れることが出来ているといった状況です。

当然ですが、投入資金を大きくした場合の恐怖心は残っています。

但し、ロット数をコントロールできるようになったのは、メンタルを克服したというよりは、合理的に考えて多めの資金を入れた方がメリットがあるため資金を多めにいれるようにしているという方が実態に近いのかもしれません。

複利運用の手法は様々であり、自分に合った方法を模索して行くことが不可欠である!

因みにですが、短期でテクニカルベースでの取引は、複利で運用に向いていないと言っている訳ではありません。

実際に、デイトレなどでコツコツと資金を増やしつつ、更に徐々に投入資金を増やしているという人は多くいると思います。

私の場合でも、前者の取引で当ても、徐々に資金を増やして取引重ねて行っても、複利で資金は増えた可能性もあります。

但し、より今の方が取引手法が自分に合っていたというだけです。

ただ一つ思うのは、人間のメンタルは本当に良く出来ており、損失に対する恐怖心は潜在意識の中に刷り込まれているかのようです・・

もし仮に、複利運用を意識してロットを増やそうと努力したにもかかわらず、どうしてもメンタルが厳しく抵抗してくる場合は、もしかするとロットを増やす準備が整っていないのかもしれませんね。

その場合は、もう一度、ロットを減らして体制を整えたのちに、改めて複利運用にチャレンジしてみるというのでも良いのかもしれませんね!