
投資家の思考法は大きく分けて「2つ」に分かれる!
株式投資をしていく中で、色々な方のブログやTwitterなどを見させて頂くのですが、投資家の思考法は大きく分けて2つに分かれるなと感じることが良くあります。
一般的な言葉を使ってしまうと、
■「帰納法」的な思考の投資家
■「演繹法」的な思考の投資家
の2種類です。
「帰納法」「演繹法」の違い とは?
そもそも、「帰納法」「演繹法」の違いについて述べておきますと、ざっくり言ってしまうと以下のようになります。
「帰納法」とは?
■複数の出来事とその結果から規則性を見つけ出す方法
う~ん、ちょっと分かり難いでしょうか。
もう少し、簡単に説明すると以下のようになります。
例えば、アイスを売っている店があるとして、今日の売れる個数を想定したいとします。
この時に、帰納法を使って個数を想定する場合は、以下のような考え方で個数を想定することになります。
①一昨日、アイスが100個売れた。(=出来事)
②昨日もアイスが100個売れた。(=出来事)
③従って、今日もアイスは100個売れるはずである。(=仮説)
「演繹法」とは?
では、他方の演繹法とはどのような考え方をするのでしょうか?
■一般的な法則を用いて出来事の結果を推測する方法
こちらも、分かり難いかと思います。
同様に、アイスを売っている店の例で説明しますと、以下のようになります。
①夏の暑い日は、アイスが100個売れる。(=一般的な法則)
②今日は、夏で、非常に暑い。(=出来事)
③従って、今日はアイスが100個売れるはずである。(=仮説)
結果は、同じ「今日はアイスが100個売れるはずである」と言う答えですが、そこに至る思考方法は全く異なります。
帰納法・演繹法的な思考が、株式の投資手法に与える影響とは?
そして、この思考法の違いは、株式投資の世界においても同じです。
私は、完全に「帰納法」による思考パターンなのですが、その思考法がごく普通だと思っていました。
と言うより、演繹法的な思考方法を用いて生活をしていないので、そもそも違いがあると言うことすらも余り意識せずに過ごして来たと言った感じです。
因みに、誤解のないように先に申し上げておきますが、株式投資を行うにあたって、「帰納法」「演繹法」のどちらが優れていると言うのは、正解が無いと考えます。
少なくとも、そこを突き詰めて行っても余り意味が無いと思っています。
と言うのは、人間の思考法は、成長の過程で周りからの影響などから、時間を掛けて作り上げられて行くものです。
そして、そうした思考法を、数十年にもわたって反復してして行く訳ですから、そう簡単に思考法を変えれるとは到底思えません!
そのため、自分の思考方法をよく理解した上で、相場で勝つために、その思考方法をベースにしつつどのような手法で投資をして行くのかを突き詰めて行く方が有用だと思うからです。
そう考えると、まず自分が「帰納法」「演繹法」のどちらの思考方法をしているのかと言うことを認識する必要があります。
帰納法的な思考をする人の株式投資における考え方とは?
「帰納法」的な思考をするのであれば、何よりも経験値を積み増していくことが重要となります。
「帰納法」的な 思考をする方の場合は、最初は負けが続いていた場合でも、投資経験を積み重ねて行くと安定して勝てるようになって行ったりすることが良くあります。
これは、積み上げられた経験値から、仮説を導き出す際に、正解を導き出せる可能性が高まるからです。
そのため、「帰納法」的な思考をする方の場合は、兎に角、経験値を積み上げて行くことが重要です。
そのためには、何よりも相場で生き残って行くことが不可欠です。
ただ、「帰納法」的な思考で株式投資をする場合には、弱点もあります。
と言うのは、先ほどの例でも分かるように、一昨日と昨日の2日間でアイスが100個売れたからと言って、今日もアイスが100個売れるとは限らないからです。
仮に、過去10日間連続でアイスが100個売れていたからと言って、今日も100個売れるとは限らないのです。
要は、帰納法的な思考で株式投資を行う場合は、ある一定の「不確かさ」を許容しながら投資をすることになります。
従って、経験値が浅く、仮説を立てるための材料が少なかったりすると、仮説が間違ってしまうと言うことが起こり兼ねません。
また、仮に経験値が豊富であっても、仮説を立てるための思考に問題があれば、間違った仮説を導き出してしまう恐れもあります。
要は、ある程度の「センス」を求められることになります。
因みに、帰納法を用いた投資で、別の観点のメリットとしては、投資判断がスピーディーに下せるという所です。
と言うのは、先ほど述べた通りある一定の「不確かさ」を許容しながら投資をしていると申しましたが、全てを完ぺきに潰し切ってから仮説を立てている訳ではありません。
そのため、短い時間で投資判断をすることが出来るのです。
演繹法的な思考をする人の株式投資における考え方とは?
一方で、「演繹法」的な思考はどうなのでしょうか?
ブログやTwitterなどを見ていると、株式投資における「法則」を模索しているような記事があったりします。
こうした方は、「演繹法」的な思考をしている可能性が高いです。(因みに、ここで言う「法則」とは、投資ルールのことではありません。)
なぜならば、「演繹法」的な思考で株式投資を行う場合は、根底となる「法則」が必要となるからです。
そのため、まずはこの「法則」を模索しなければなりません!
演繹法の場合、この法則が間違っていると、投資の根底が崩れてしまうことになりますので極めて重要です。
そのため、膨大な量のバックテストなどを行うことで、この法則の「正しさ」を検証したりする必要があるのです。
但し、仮に「法則」が導き出せたとしても、数多くある銘柄の中から、この法則に則った銘柄を探し出す必要が生じます。
また、出来事と法則を照らし合わせて、仮説を導き出す必要もあります。
そのため、どうしても演繹法は、投資判断を下すまでに時間が掛かってしまうことになります。
しかし、演繹法にもメリットがあります。
それは、株式投資を行う際に、「反復性」が強いと言うことです。
ある意味、演繹法とは経験値と言うものを、信用していないとも言えます!
信用できないからこそ、「法則」と言う名の、物差しを準備する訳です。
よって、個人の裁量的な思考が、投資判断をする際に入り難くなります。
そのため、毎回、同じような判断軸で投資を行うことが出来るのです。
ただ、これは逆を返すと、マイナスにもなってしまいます!
と言うのは、そもそも、この「法則」が間違っている場合だと、毎回誤った投資を行ってしまうことになります!
そうなると、目も当てられません!!
また、演繹法における法則が、株式投資において有効であるかと言うのも疑問ではあります。
と言うのは、例えば化学式の場合、
・酸素原子(O)が2個
・水素原子(H)が1個
が化学反応すれば水(H2O)となります。
これは間違いない法則です。
しかし、株式投資の場合は、を取り巻く環境は、日々変わって行きます。
そのため、ある時は正しかった法則も、環境が変わると正しくないものになり兼ねません。
一方で帰納法で投資をする場合は、環境が変わってしまうとどうように失敗する可能性があります。
しかし、失敗を重ねると経験値が積み重なります。
すると、失敗と言う材料が上書きされて行きます!
そのため、次回からはこうした失敗も考慮した思考を基に、仮説を導き出すことが出来るようになるのです。
勿論、演繹法であっても「法則」を塗り替えることも出来ますので、こちらもどちらが優れているということはありません。
帰納法・演繹法的 のどちら思考法であるかを理解した上で、投資手法を確立することが重要である!
少し長くなって来てしまったので、この辺りで終わりにしようと思います。
なお、繰り返しになりますが、株式投資を行うにあたって、「帰納法」「演繹法」のどちらが正しいかと言うのはありません。
重要なのは、自分がどのような思考で考える傾向にあるかと言うことを知っておくことです。
それを把握することで、自分の思考法の「強み」と「弱み」が明確となって来ます!
こうすることで、自分の「強み」を活かしつつ、「弱み」を補強するような投資法を確立して行くことが可能となるのです!
そのためには、まずは自分の思考法とは、異なる方の思考法について学んでみることです。
・帰納法的な思考法の人は、演繹法を!
・演繹法的な思考法の人は、帰納法を!
と言った具合です。
私も、株関連のブログなどを見ていると、精緻な分析に基づいて投資をされている方などを見ると本当にすごいな~と思うことがあります。
自分では無理だな・・と。
そして、所謂、聖杯などと言った完全なる法則を見つけようとしている人がいると、なぜ、法則を見つける必要があるのかと疑問に思った時期もありました。
勿論、完全なる法則などは無く、期待値として勝てる可能性のある法則を見つけ、それに基づいて投資をして行くと言うものだとは思います。
ただ、帰納法ベースの思考であった私としては、なぜ法則をそこまでしてまで見つける必要があるのか疑問でした。
ただ、演繹法的な思考で投資をしているのだと考えれば、法則を見つけなければならない理由も理解できます。
自分がどのような思考で投資をするかはさておき、やはり自分とは違うスタンスの考え方についても触れてみることは重要です!
こうすることで、投資に対する理解が深まり、投資手法も更に自分の性格に合ったものに進化することが出来るのだと考えます。