株のインカムゲイン(配当)投資は、リスクが低いと言うのは嘘である!

配当によるインカムゲイン投資は、リスクが低いと言うのは本当か?

株式投資において、株価の増減によるキャピタルゲインを狙った投資はリスクが高いが、配当を狙ったインカムゲイン投資はリスクが低いと言った話を聞くことがあります。

果たしてそうなのでしょうか?

確かに、高配当銘柄の場合、配当は5~6%程度に及ぶこともあります。

日本の銀行に資金を預けておいても、1%を下回るような利率のため、確かに5~6%もあれば、十分と考える人も多いのかもしれません!

但し、この僅か5~6%程度などは、たった一日の株価で動いてしまうレベルです。

更に、株式投資においては、業績や材料の発表があった時などでは、1日に10%近く動くことも、それほど珍しい話ではありません!

配当金で投資元本を回収すれば、その後はノーリスクって本当なのか?

こう言った話をすると良く出てくるのは、以下のような議論です。

例えば、

「配当金で投資元本を回収してしまえば、その後はノーリスクで配当金を受け取れる!」

と言ったようなものです。

それ、本気で考えてます????

とついつい、突っ込みたくなるレベルの話だと思います・・。

4%の配当でも、投資金額を回収するには約32年も掛かってしまう・・

例えば、4%の配当でも割と高い方だと思いますが、この4%の配当で全額を回収しようとすると何年掛かるでしょうか?

計算は、以下のようになります!

例えば、1,000円の株があったとして、100株単位だったとします。

すると、購入単位にすると1,000円×100株の=100,000円となります。

これに4%の配当が付くと、4,000円の配当となります。

但し、非上場等を除いて一般的な上場企業の配当の場合、20.315%(所得税 15,315% 住民税 5%)が惹かれますので、以下のような計算となります。

4,000円×(1-0.20315)=3,187.4円

そのため、100,000を配当金で回収しようと思うと、

100,000円÷3,187.4円=31.37年

従って、答えは「約32年」となります。

今から約32年間、その企業が4%の配当を出し続けると言い切れる人はいますでしょうか?

少なくとも、私は無理です!!

約32年間の間に、企業業績が悪化して減配するリスクは高い!

株式投資では、株価が下落する理由は色々とありますが、企業が減配した場合、殆どの場合は株価は下落します。

すると、数年間掛けて貯めてきた配当金など、あっという間に吹き飛んでしまいます。

当然、減配したということは、先ほどの4%→32年が、更に延びてしまうことになります!

期間が延びるだけならまだ良いかもしれませんが、「無配」になる可能性だって、全然あり得ることです。

企業が「減配」「無配」にする理由としては、まず第一に考えられるのが、企業業績の悪化です。

業績が悪化している際に、高額の配当を続けるのは難しくなるので、配当を見直すという選択をせざるを得なくなります。

最悪の場合、32年間を待とうとしたが、最初の数年間で無配となってインカムゲインが無くなり、更に業績悪化によって株価も下落して大きな含み損になってしまうと言うことになってしま可能性もあるのです!

更に高配当銘柄に投資して、回収期間を短くすれば良いのでは?本当にそうか?

では、もっと高配当銘柄に投資して、回収期間を短くすれば良いのでは?

と考える人が出てくるかもしれません。

こうした考え方をする場合、まず考えて欲しいのは、高配当はどのような状況の時に生じるかということです!

高配当になっている理由として、まず考えられるのは、低位株の状況のために配当率が高くなっている場合です。

また、その他としては、企業が配当を多く出しているために高配当になっている場合です。この場合は、多くが高配当であるが故に人気が集まり、株価価が割高になっている可能性が高いです。

前者の場合は、高配当であるが故に株価の下支えになる可能性がありますが、後者の場合は極めて危険です。

この辺りの詳しい内容は、以下のページに記載していますので、ここでは割愛させて頂きます。

因みに、下記のリンクは、このブログの過去の投稿記事となります!

配当とは副次的なものであり、主眼を置くべきは、株価の動向(キャピタルゲイン)である!

何れにせよ言えることは、株式投資を行う際に、株価の上下を抜きにして語ることは絶対にできません。

やはり、配当とは副次的なものであり、やはり主眼に置くべきは、キャピタルゲインの方なのだと思います。

つまり、損失をコントロールしながらキャピタルゲインを得て行く過程で、副次的に配当も貰うと言うのが、基本的な考え方だと思います。

まずは、この損失をコントロールするという部分を重要視しなければ、株式投資で生き残って行くことは不可能です。

銘柄を分散すればリスクは下がるのではないか?

ただ、こう言った話をすると、銘柄を相当に分散すれば良いのではと言う人いると思います。

しかし、銘柄を分散してしまえば、投資結果はインデックスに収束してきます。

アベノミクス初動の時のように、明らかに右肩上がりの傾向が見えていた時は、この手法でも良かったのかもしれません。

しかし、今後の相場では、どちらかと言うと、いつ暴落するかわからない相場と向き合っていく必要があります!

そうなると、幾ら銘柄を分散して配当を貰えるようにしたとしても、不景気になって株価全体が下がり始めると、配当金以上に資産額が減少して行くことになってしまします!

例外的に、配当によるインカムゲイン投資が、リスクが低くなるケースもある!

勿論、既に数十億円レベルの資金を持っていて、数億円レベルの資産額が変わっても構わない、と言う戦略が取れる人の場合は話は変わってきます!

当然、株価は数年単位で、景気のサイクルに合わせて上下の動きを繰り返しますので、数年先に下落して資産額が下がっても、上昇局面では資産額が上がる可能性が出てきます。

こうした株価の上下による資産額の増減は気にせず、配当だけを取って行く戦略が取れるなら、リスクが低い投資と言えるのかもしれません。

そもそも、数十億円レベルを持っていれば、配当だけでも相当な絶対額となります。

そのような中、銘柄を相当数に分散している場合、全ての銘柄が減配とか無配になる訳がないので、配当収入が無くなってしまうということは考え難いです!

よって、このような方の場合はリスクは低いと言えるのかもしれません!

高配当銘柄で、減配の可能性が出てきたら、銘柄変更すると言う方法もあるが・・

他に、配当を目的とした手法として、高配当銘柄に投資をしておきながら、株価が下落しそうになったら、他の銘柄に乗り換えると言う方法があります。

株価は、先回りして動きますので、常に「減配」の可能性が出ていないかをウォッチし、兆候が出て来たら、市場より先回りして銘柄を変更する必要が出てきます。

しかし、インサイダー情報を入手すればつかまりますし、常に市場より先回りし続けるのは、極めて難易度が高い手法となります!

そのためには、企業動向や配当性向などについて相当に勉強つつ、投資を実践して行くことが不可欠です!

このようになってくると、インカムゲインと言うよりは、寧ろ、株価の上下変動を意識した投資になってくるので、ファンダメンタルをベースとした通常の株式投資に近くなってきてしまうのです。

配当によるインカムゲイン投資の難易度が低いと言うのは「ウソ」である!

諸々記載してきましたが、やはり株式投資を実践していく中で、株価の下落による損失を無視して、配当だけにフォーカスした投資手法と言うのは、寧ろ危険」と考えます。

そもそも、株式投資にリスクがあるということは当たり前のことです!

それに敢えて挑んでいるということは、それ相応の目的があり、それを株式投資を通じて叶えたいからだと思います。

だからこそ、リスクを負ってまで、真剣に株式投資と向き合って、その目標をかなえようとしているのだと思います。

そのような中で、32年間保有し続ければ、その後はリスクがないなどと言った、甘い考えで株式投資をすることが自体が間違っていると思います。

それは、株式投資におけるリスクを、甘く考え過ぎているのではないでしょうか?

今後、「配当によるインカムゲイン投資が、リスクが低い!」と言う話を聞いた場合は、「本当にそうなのだろうか?」改めて見つめ直し、その上で、自分が取るべき手法を決めて行くことが重要なのだと思います!!