業績が良いのに株価が下落してしまうのはなぜか?株価下落時の対応方法とは?

株式投資で、業績が良いのに株価が下がってしまう理由とは?

株式投資を行う場合、一般的には業績発表の結果が良ければ、株価は上がると考えるのが普通です。

しかし、株式投資を行っていると、業績は良いにもかかわらず、株価が下落してしまうと言ったことが良く発生するのも事実です!

このように、業績と株価の動向が相反する場合、どのように対処するのが良いのでしょうか?

業績と株価が相反する場合の対処方法とは?

下記の図で言うと、【A】の位置において、この会社の業績が良いことを想定して購入したとします。

つまり、業績発表後に【B】の方向に株価は推移すると想定して購入するという状況となります。

しかし、業績発表の結果は良かったにもかかわらず、株価は業績結果とは相反して、【C】の方向に進んでしまった状況となっています。

このような時に、どのような判断が必要なのでしょうか?

まず、このような状況に陥った場合、まず考えなければならないのは、なぜ株価が業績と相反する動きをしているかと言うことです!

まあ、言われてみれば、当然のことではあります!

一般的に考えると、その企業の利益率が上がった場合は、一株当たりの利益が上昇することになります。

そのため、一株の辺りの価値が向上しますので、通常であれば株価も上昇すると考えるのが普通です!

しかし、実際には株価は下がっている訳です・・。

何故なのでしょうか?

まずは、その原因を解き明かさなければ、次に打つべき対処法を判断することが出来ません!

業績と株価の動きが反する場合は、3つの理由に分類する必要がある!

このような状況になった場合、まずは株価が下がっている理由が、以下の3点の何れであるかを見極める必要があります!

業績と株価の動きが反する3つの理由

1点目の理由

1点目としては、下記のような理由から、業績の発表自体は良かったが、将来的には業績が悪化することが見込まれる場合です。

①業績発表をした会社の予想が甘く、下方修正される可能性がある。(実際に業績を甘めに発表する傾向がある会社もあります)

②業績発表は良かったが、発表されている範囲の時期よりも、先の時期(例えば来期)において、業績が悪化することが想定される。

2点目の理由

2点目としては、下記のような要因によって、一時的に株価が下がってしまっている場合です。

①好業績を先行して掴んだ機関投資家などが、先回りして株式を購入したことによって、既に株価が上がってしまっている。そこに、利確目的で売りをぶつけられている。

②信用取引による需給のバランスが崩れている。(例えば、悪業績を想定して売り残が増えていたが、業績発表が良かったため踏み上げられている等)

③外部要因によって引きずられて下がっている。(例えば、景気悪化に伴って相場全体が下がっているとか、政治動向によってパニック売りが発生している等)

※その他にも、一時的に下がる要素は沢山あります!

3点目の理由

3点目としては、下がっている理由が不明、と言う場合です。

①一つ目は、本当に株価が下がる理由が見当たらない場合。

②自分の実力が無いために、株価が下がる理由が分からない場合。

夫々の理由に対する対応方法とは?

まずは、1点目と2点目の何れであるかを見極めることが重要となります。

当然ですが、1点目と2点目の理由では、取るべき方針は全く異なるものになってしまうのです!。

将来的に業績悪化が見込まれる場合の対応方法

一点目の理由であった場合、その後の業績の悪化によって株価は下がる傾向となってしまうため、いち早く損切り(ロスカット)が必要となります。

下記の図で言えば、【A】で購入した時より、一株当たりの価値が下がることになるため、株価も下落する可能性が高まります。

将来的に、業績悪化が明確であれば、株式を保有している理由は余りありません。

被害が小さく済むうちに、一刻も早く退却しなければなりません!

余り、こちらに関しては異論はないかと思います。

一時的な理由によって株価が下げている時の対応方法

一方で、2点目の理由であった場合は、株価は購入ラインである【A】よりも上昇する可能性ことが見込まれるため、普通に考えると「ホールド」若しくは「ナンピン」となります。

と言うのは、【A】の時点で株価が適正だったとすると、それ以上に一株当たりの価値が高まっているため、【B】のラインに株価が推移することが期待出来るからです。

一時的に【C】の位置まで株価が下がっているならば、本来の価値から更に乖離が大きくなっているので、投資ルールにもよりますが「ナンピン」も合理的な判断とも言えます。

一時的な理由によって株価が下げている場合でも、損切り(ロスカット)の判断も必要な場合もある!

しかし、ここで「ホールド若しくはナンピン」が正解かと言われると、そうとは言い切れません!

この場合、「損切り(ロスカット)」と言う判断をするのも、その人の投資手法によっては有りだからです!

と言うのは、株式は原則論としては業績にリンクして推移する傾向にあります。(勿論、この考え方自体に、異論があることも理解しています。)

そのため、一時的な需給の崩れによって、業績とは違う動きになっても、何れは業績に収束してくることが期待出来るのです!

そうなると、一時的に【C】の位置に株価が行ってしまっても、何れは【B】に収束するので、ホールドで良いのではと思うかもしれません!

しかし、ここで一つ、忘れてはならないことがあります!

それは、需給の崩れが、いつ改善されるのかは、想定するのが極めて難しいと言うことです。

当然、株式市場においては、「買い側」と「売り側」の両者の思惑が絡み合って、株価が決まって行きます。

そのため、業績は一つの判断材料に過ぎず、業績が良かったからと言って、「買い」と判断する投資家もいますし、「売り」と判断する投資家もいる訳です。

そして、どちら側が強いかによって、株価が上下することになります!

そのため、業績が良かったとしても、何らかの理由で「売り」と判断する投資家が多ければ、株価は下落してしまう可能性があります。

当然、こうした投資家も、いつかは買い戻さなければなりませんので、どこかで需給の歪は解消されることになります。

しかし、それがいつ解消されるのかは、投資家同士の思惑が絡み合うので、自分の想定通りの時期に解消されるとは限りません!

そのため、すんなりと崩れて、需給のバランスが改善されてしまう場合もありますし、逆に、崩れたバランスのまま、とことんまで行ってしまうことも良くあります。

また、崩れたバランスのまま、長く時間が過ぎてしまうことも多くあります。

仮に数年と言ったロングスパンで投資を行っていれば、こうした需給の崩れは改善されて、業績に収束することが多くなります。

しかし、数ヶ月とか半年と言った期間の場合、需給が崩れたままの状態が、維持されてしまうことは良くあることなのです!

例えば、信用取引によって需給のバランスが崩れている場合だと、買戻しの期限である6ヶ月経ったあたりで、一気に需給が改善されると言ったことが良くあります!

このように、自分の投資手法において、取引期間がどの程度なのかによっても、「ホールド若しくはナンピン」するのか、この場合でも「損切り(ロスカット)」するかの判断は変わってくるのです。

株価が下落する理由が不明な時の対応方法

最後に3点目となります。

この3点目には、以下のような2つの場合があります。

一つ目は、本当に株価が下がる理由が見当たらない場合です。

そして、2つ目は、自分の実力が無いために、株価が下がる理由が分からない場合です。

基本的に、3点目の状況に陥った場合は、上記のどちらであっても、一旦は損切り(ロスカット)をして様子見をするのが良いと思います。

そもそも、理由が分からないなどの状況は、あってはならないと感じる方も多いのかもしれません!

しかし、自分の実力が無いために、株価が下がる理由が分からないと言ったことは、現実的には起こり得ると考えておく必要があります

と言うのも、我々個人投資家が知りうる情報や分析能力は、機関投資家等と比べると限られているのが実態です。

実際に、投資機関などに属する熟練投資家などの話を聞いてみると、如何に自分の実力が乏しいかと言うことを痛感させられるかと思います!

このように、自分の実力を過信せず、株価が下がる理由が分からないと言ったことは、現実的には起こり得ると考えておく必要があるのです。

仮に、株価の下がる理由が分からなかったにもかかわらず、業績発表が良かったと言う理由だけを拠り所として「ホールド」してしまった場合、急速に業績も悪化して、気が付いた時には取り返しのつかないほど含み損が膨らんでしまったと言うことになり兼ねません。

そのため、理由が分からないのであれば、一旦は手放すと言うのが、無難な選択肢になるのです!

株価の下落理由が分からない場合でも、「ホールド」が有効な場合もある!

しかし、逆にここで、敢えて「ホールドする」と言う選択肢もあります。

例えば、割安株だけに絞って購入している場合、株価の下落幅は限られて来ます。

例えば配当率が5%近くになってくると、配当収入を目的とした買いも入ってくることが想定され、株価が下がり難くなったりします。

また、決算発表で業績が良かったと言うのも事実です。

勿論、業績の裏を読むことは不可欠ですが、少なくとも表面的には業績が良かったことは間違えありません!

仮に、3点目のように株価が下落する理由が見当たらなかったとしても、株価の下落幅がある程度想定出来、許容できるものであれば「ホールドする」と言う選択肢はありだと思います。

但し、割高株に投資をしている場合は、下落幅が大きくなりますので気を付けなければなりません!

何れにせよ、この辺りの考え方は、夫々の投資ルールそのものとなってきますので、売買をする前に決めておかなければなりません。

株価の推移が、どのような理由で起きているのかを判断出来る能力を付けて行くことが重要である!

色々と書いてしまいましたが、基本的に株式投資においては、自分の分析力を高めて、株価の動向がどのような理由で起きているのかを判断出来る能力を付けて行くことが重要です。

こうした分析能力が高まって行けば、状況に応じて正しく判断が出来る可能性が高まります。

しかし、分析能力を高める努力を続けたとしても、一人の個人投資家が、全てタイミングで適切に、見抜くことは極めて困難であることも事実です。

そのため、「分からない」と言うことが起きることを、予め想定しておくことも重要となります!

そして、この「分からない」が発生した場合には、予めどのように対処するかを、自分の投資ルールとして決めておくことが重要になります。

こうすることで、メンタルに依存せずに対処することが出来るようになり、仮に判断が間違っていたことが後に分かったとしても、次から対処法を見直すことが可能となります。

このようにして経験値を増して行くことで、適切な判断を下せる回数が増えて、結果としてトータルで勝てるようになって行くのだと思います!